是正勧告

是正勧告：労働基準法違反への対応

労働基準監督署による事業所への調査で、労働基準法などの法令違反が発見された場合、監督署は事業者に対して是正を求める勧告を行います。これが「是正勧告」です。是正勧告は、行政指導の一種であり、事業者への是正勧告と是正勧告書の交付によって行われます。

是正勧告書には、是正すべき具体的な違反内容と、是正期限が明記されています。事業者は、この期限までに是正措置を行い、その内容を報告書として所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。期限までに是正が完了せず、報告書が提出されない場合、監督署から再度是正を求められる可能性があります。

一方、法令違反には該当しないものの、改善の余地がある事項については、「指導票」が交付されます。指導票は是正勧告とは異なり、改善を促すものであり、法的強制力はありません。

是正勧告は、法的強制力を持たない行政指導です。従って、是正勧告を無視したり、放置したりしても、直接、罰則が科せられることはありません。しかし、是正勧告の対象となるのは、労働基準法などの法令違反であるため、勧告内容を無視し、法令違反を放置した場合、監督署からさらに厳格な対応を求められる可能性があります。場合によっては、刑事罰などの司法処分を受ける可能性も否定できません。特に、悪質な違反と判断された場合は、司法処分を受ける可能性が高まります。

2012年のデータによると、労働基準監督署による臨検監督を受けた企業のうち、約7割で労働基準法違反が発見されています。これは、多くの企業が労働基準法に関する知識不足や、法令遵守体制の不備を抱えていることを示唆しています。

事業者は、是正勧告を受けた際は、まず、勧告内容を正確に理解し、是正期限までに適切な是正措置を行うことが重要です。その際、法律専門家や社労士などの専門家の助言を受けることも有効な手段となります。是正勧告は、企業の法令遵守意識を高め、より安全で働きやすい職場環境を作るための重要な機会と捉えるべきでしょう。是正勧告をきっかけに、労働環境の見直しを行い、コンプライアンス体制の強化を図ることが求められます。

まとめ:

是正勧告は、労働基準監督署からの行政指導。法的強制力はないが、無視は危険。
是正勧告書には是正期限が明記され、期限までに是正報告書を提出する必要がある。
法令違反を放置すると、司法処分を受ける可能性がある。
多くの企業で労働基準法違反が見つかっている現状を踏まえ、法令遵守の徹底が重要。

もう一度検索