月経周期

月経周期

月経周期とは、生理が始まった日を1日目として数え、次の生理が来る前日までの期間を指す言葉です。この周期的な変化は、脳の視床下部や下垂体、そして卵巣から分泌される複数の女性ホルモンが複雑に連携し合うことによって緻密にコントロールされています。

周期日数とその個人差

一般的に、月経周期は25日から38日の範囲内であれば正常とされています。個人差はありますが、およそ1ヶ月ごとに巡ってくるのが特徴です。しかし、厳密に28日周期である方は比較的少なく、全体の10%から15%程度に留まるというデータがあります。また、少なくない割合の女性、少なくとも2割以上の方は、周期が一定しない、つまり不規則であるとされています。

過去に行われた大規模な調査（例えば、1962年の約1万6千周期のデータ分析）によれば、日本人女性においては25日から38日の範囲内であれば正常と見なされています。さらに近年の調査（2020年、体調管理アプリ利用者の約32万人、600万周期のデータ分析）からは、年代によって月経周期が変化する傾向があることが明らかになっています。特に20代後半から50代にかけては、一時的に周期が短くなる時期を経て、その後長くなるというパターンが見られます。このデータは、正常範囲内であっても、周期には大きな個人差があることを改めて示唆しています。

実際の出血期間、いわゆる月経期間は、個人差はありますが概ね3日から7日間程度です（平均は約5日間）。

健康状態の指標として

安定した月経周期は、多くの場合、心身が健康な状態にあることの一つの指標となります。月経周期が規則正しいということは、ホルモンバランスが整っていることのサインだからです。しかし、過度なストレスや急激な体重減少（特に体脂肪の減少）、無理なダイエットなどは、ホルモンバランスを崩しやすく、月経周期が乱れる原因となることがあります。

月経周期のフェーズ

月経周期は、主に卵巣と子宮それぞれの状態に基づいて、いくつかの段階（フェーズ）に分類されます。

卵巣の視点からのフェーズ

1. 卵胞期（Follicular phase）
月経が始まってから、次の排卵が起こるまでの期間です。
卵巣では、脳からの刺激ホルモン（卵胞刺激ホルモン FSH）を受けて、いくつかの卵胞が発育し始めます。その中の最も成長した卵胞（主席卵胞）が、排卵に向けて成熟していきます。
成熟する卵胞からは卵胞ホルモン（エストロゲン）が多く分泌され、子宮内膜を厚くする準備を始めます。
2. 排卵期（Ovulatory phase）
成熟した卵胞から卵子が放出される時期です。
卵胞ホルモンの分泌ピークを受けて、脳から排卵を促すホルモン（黄体形成ホルモン LH）が大量に放出されることで起こります。
この期間は通常非常に短いです。
3. 黄体期（Luteal phase）
排卵後から、次の月経が始まるまでの期間です。
排卵後の卵胞は黄体へと変化し、黄体ホルモン（プロゲステロン）と卵胞ホルモンを分泌します。
黄体ホルモンは子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整えます。妊娠が成立しなかった場合、黄体は退化し、ホルモン分泌が急激に低下します。

子宮の視点からのフェーズ

1. 月経期（Menstrual phase）
ホルモンレベルの低下により、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、出血として体外へ排出される期間です。
これが「生理」と呼ばれる現象です。
2. 増殖期（Proliferative phase）
月経終了後から排卵までの期間です。
卵胞ホルモンの作用により、剥がれ落ちた子宮内膜が再び厚みを増し、次の排卵に備えて準備を始めます。
3. 分泌期（Secretory phase）
排卵後から次の月経が始まるまでの期間です。
* 黄体ホルモンの作用により、増殖した子宮内膜はさらに成熟し、受精卵が着床しやすいように栄養を蓄えたり、分泌物を増やしたりします。

月経周期は女性の体の基本的なリズムであり、その状態を知ることは自身の健康管理において非常に重要です。周期の乱れや異常を感じた場合は、専門医に相談することをお勧めします。

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