木型

木型（きがた）について

木型は、商品の外観や機能を実際に確認するために制作される原型であり、多くの場合は木材を用いて作成されます。この木製の原型は、製品デザインの段階で非常に重要な役割を果たし、外観だけでなく使い心地や可動部についても検討するために利用されます。木型はモックアップとも呼ばれ、様々な業界で幅広く使われています。

材料と制作方法

木型を作る際には、一般的に低コストで加工が容易な木材が選ばれます。木材は修正がしやすく、デザインの微調整を行うのに適しています。さらに、石膏やプラスチックなど、他の材料も使われることがあります。最近では、CAD（コンピュータ支援設計）による設計データをもとに、木型を制作する際に木目のない人工木材、つまりケミカルウッドが選ばれることが増えています。これは、天然木材がNC（数値制御）工作機械での加工には不向きであるためです。

用途

木型は主に玩具の原型として利用されてきましたが、その範囲は非常に広範で、自動車や船舶、鉄道車両、航空機のデザインや機能の検討にも使用されます。たとえば、大航海時代の帆船作りの際には、実際の船を建造する前に縮尺模型が制作され、デザインの検討や顧客への説明に活用されました。最近では、スペースシャトル・オービターの運搬や固定手順を確認するために、実物大の模型「パスファインダー」が制作されています。

特に玩具の原型制作では、木型の段階で可動部のギミックを忠実に再現し、パーツの分解が可能になるよう工夫されることが多いです。また、微妙なカーブの修正には、天然木材以外におがくずを樹脂で固めたものも使用されることがあります。

技術の進化

かつては職人の手作業が主流でしたが、近年では3Dプリンタや3Dプロッタの技術進歩により、CADデータを基にした立体的な成形が可能になりました。これにより、木型の呼称はそのままに、FRP（繊維強化プラスチック）や合成樹脂といった新しい素材が木型制作に取り入れられるようになっています。トヨタ[[自動車]]のように、技能継承の一環として、新人研修に木材を使用する企業も存在します。

モックアップの活用

デザインが商品の販売に多大な影響を与える自動車や携帯電話の分野では、原寸大のモックアップが特に重視されています。携帯電話店では、体験用に展示された実機を「ホットモック」と呼んでいます。使用済みの携帯電話モックアップが販売されることもあり、消費者がデザインや機能を実際に確認するための重要なツールとなっています。

関連項目

• - 鋳造（砂型鋳造）
• - ラピッドプロトタイピング

木型は製品開発の初期段階で重要な役割を果たし、デザインの完成度を高めるために欠かせない存在であると言えるでしょう。

もう一度検索