東郷温泉

東郷温泉の魅力と歴史

鳥取県東伯郡湯梨浜町に位置する東郷温泉は、昭和初期において県内で高い集客力を誇る温泉地として名を馳せました。この温泉は、ナトリウム・カルシウムから成る塩化物・硫酸塩泉で、源泉温度は85℃から94℃の間にあります。旧泉質表記では硫酸塩泉（含石膏食塩泉）とされています。

東郷温泉の地質的特性は非常に興味深く、松崎駅前において350メートル程度の狭いエリア内に、深さ300メートルの花崗岩層が存在しています。この花崗岩層は熱源とされており、周囲の火砕岩層や洪積層、沖積層にも温泉源が点在しています。

温泉街の特徴

温泉街には、大型の多目的温泉施設「ゆアシス東郷龍鳳閣」があり、近隣には日本最大級の中国庭園「燕趙園」が広がります。かつては多くの旅館が営業していましたが、現在は「養生館」と「水明荘」の2軒が営業を続けています。特に、東郷湖の中央からも温泉が湧き出ており、湖面にたなびく湯気は訪れる人々に温かさを感じさせます。

また、2箇所に設置された足湯は誰でも利用可能で、東郷羽合臨海公園の足湯では卵を使った特製のゆで卵を楽しむことができるなど、ユニークな体験が提供されています。これらの施設は、観光客にとっての魅力的なスポットとなっています。

歴史的背景

東郷温泉の歴史は古く、1749年に文書でその存在が記録されています。最初は湖底に竹筒を差し込み、竹樋で温泉水を涌き出させる方法が用いられていました。1868年には近代的な利用が始まり、1884年には旅館業も始まるなど、少しずつ発展を遂げました。特に、昭和初期には志賀直哉が訪れたことなどがその歴史に彩りを添えます。

大正初期には周辺で温泉掘削が盛んになり、新たな宿泊施設も増えていきました。この段階で、「松崎温泉」という名称が生まれ、東郷温泉との関連が深まります。1951年には両温泉が統合され、「東郷温泉」として一本化されました。この名称統一は、地域の発展にも寄与しました。

現在と観光

過去の繁栄を物語る施設もありましたが、多くは経営不振により閉鎖されました。1980年代後半には、かつての繁華を象徴するホテルも倒産し、長らく廃墟として放置されていましたが、現在はその跡地も整備が進められています。また、近年は観光客数も減少傾向にあり、2000年には約58,000人だった客数も、2017年には27,000人にまで落ち込んでいます。

それでも、温泉の持つ効能や自然環境は依然として魅力的で、多くの著名人や観光客が訪れています。アクセスも便利で、鉄道や自動車での訪問が容易になっています。観光名所や温泉を訪れることは、一生忘れられない経験となることでしょう。

終わりに

東郷温泉は単なる温泉地ではなく、長い歴史と豊かな文化を持つ地域です。訪れる度に新しい発見と癒しを感じられるスポットですので、ぜひその魅力を一度体験してみてください。

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