森本幸裕

森本 幸裕

森本 幸裕（もりもと ゆきひろ）氏は、1948年生まれの日本の造園学者です。大阪府のご出身で、環境デザイン学および景観生態学を専門分野としています。長年にわたり、教育研究活動から社会貢献まで幅広い分野で活躍しています。

学歴とキャリア

森本氏は、京都大学大学院農学研究科の博士課程において、1977年に単位を取得して退学しました。その後、農学博士号を取得しています。

教育者としては、母校である京都大学大学院で地球環境学堂教授を務め、現在は京都大学名誉教授の称号を得ています。また、京都大学以外にも、京都造形芸術大学、大阪府立大学、京都学園大学バイオ環境学部といった複数の大学で教壇に立ち、後進の育成に尽力しました。

主な役職と社会活動

森本氏は、その専門知識と経験を活かし、多くの学会や公的な機関で重要な役割を果たしてきました。国内外の主要な学会で要職を歴任しており、具体的には以下のものなどが挙げられます。

日本緑化工学会 会長
日本造園学会関西支部 支部長
日本景観生態学会 会長
国際景観生態工学学会連合（ICLEE） 会長

これらの学会活動を通じて、それぞれの分野の発展や国際的な連携強化に貢献しました。また、文化審議会の第三専門調査会長を務めるなど、国の文化行政においても専門家の立場から助言を行いました。

現在も、社叢学会理事、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会理事、亀岡市景観審議会委員といった役職を務め、幅広い社会活動を続けています。

さらに、（公財）京都市都市緑化協会の理事長として、歴史ある古都・京都の都市緑化推進にも力を注いでいます。

受賞と作品

森本氏の長年の研究教育および実践における功績は高く評価されており、数々の栄誉に輝いています。主な受賞歴としては、第37回日本公園緑地協会北村賞や、平成29年度日本造園学会賞上原敬二賞などがあります。

また、実践的な造園・景観デザインにも関わっており、代表的な作品として「雨庭（あめにわ）」の概念普及や、京都の梅小路公園内に整備された「いのちの森」が挙げられます。これらの作品は、自然の生態系に配慮した新しいタイプの都市緑化・環境デザインとして注目されています。

著書

景観生態学や環境デザイン学に関する研究成果は、多数の著書や編著、監修という形で発表されています。以下に主な著書の一部を挙げます。

『桜の教科書』（監修、京都通信社、2015年）
『特集 森と歩む日本再生 : 森林環境』（責任編集、朝日新聞出版、森林文化協会、2014年）
『景観の生態史観−攪乱が再生する豊かな大地』（編、京都通信社、2012年）
『最新環境緑化工学』（編著、朝倉書店、2007年）
『環境デザイン学 : ランドスケープの保全と創造』（編、朝倉書店、2007年）
『いのちの森 : 生物親和都市の理論と実践』（編著、京都大学学術出版会、2005年）

これらの著作を通じて、森林環境問題、生物多様性、都市緑化、ランドスケープ保全など、現代社会が直面する様々な環境問題に対する深い洞察と実践的なアプローチを提案しています。

森本幸裕氏は、日本の造園学および環境デザイン学の発展に大きく貢献し、教育、研究、社会活動、著作など多方面でその影響力を示している第一人者と言えるでしょう。

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