森田雅也

森田雅也：近世日本文学研究の第一人者

森田雅也氏（1958年生まれ）は、日本の近世文学、とりわけ近世文芸における受容と展開を専門とする国文学者です。関西学院大学文学部教授として、長年にわたり教育・研究活動に携わっています。

研究内容：多角的な視点からの近世文芸研究

森田氏の研究は、近世日本文学、特に西鶴の作品群を深く掘り下げています。単なる作品分析にとどまらず、西鶴の創作活動が当時の社会状況や文化風習とどのように関わり、受け入れられ、展開していったのかを、独自の視点から解き明かそうとしています。その研究姿勢は「受容文芸学」という学問的枠組みに基づいており、作品を取り巻く文芸環境や社会的背景を総合的に考察することで、より深い理解を目指しています。

具体的には、西鶴の作品世界を浮世草子、俳諧、歌舞伎、浄瑠璃など様々なジャンルに広げ、さらにはアジア文学との関連性なども視野に入れた総合的な研究を展開。上方文学史や元禄文学の諸相を体系的に捉えることを目指しています。西鶴作品を基軸としながらも、その研究領域は時代小説や近代の和文などにも広がりを見せており、幅広い視野を持つ研究者であることが伺えます。

海洋文学への関与

森田氏は、大学共同研究において、海洋文学、いわゆる「島国文学」の研究にも長年取り組んできました。日本の島国としての特性が文学作品にどのように反映されているのか、その特徴を解明しようとする試みは、近世文学研究にとどまらない、より広範な視点に基づいた研究活動を示しています。

主要著作・論文

森田氏の研究成果は、数多くの書籍や論文に結実しています。代表的な著作として、『西鶴浮世草子の展開』、『西宮のむかし話―児童文学から文学へ』（生駒幸子氏との共著）、『西鶴が語る江戸のダークサイド　― 暗黒奇談集』（西鶴研究会編）などがあります。また、学術誌への論文発表も多数あり、「西鶴と西宮えびす―西鶴説話の生成方法への一考察―」、「西鶴の武人形象にみる歴史認識～その敗将溢美の方法をめぐって(上)～」、「西鶴と遊女と百物語－『諸艶大鑑』巻２の５を視座として－」など、西鶴研究における多様なテーマを扱っています。さらに、『難波西鶴と海の道』という連載記事も執筆しており、新聞を通して一般の人々にも研究成果を届ける活動も行っています。

まとめ

森田雅也氏は、近世日本文学、とりわけ西鶴研究において、独自の視点と多角的なアプローチで、日本の文学史研究に大きく貢献している研究者です。その研究は、単なる作品分析にとどまらず、社会状況、文化風習、他ジャンルとの関連性など、様々な要素を踏まえた総合的な考察に基づいており、日本の文学を多面的に理解する上で非常に重要な役割を果たしています。今後の研究活動にも期待が高まります。

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