検地帳

検地帳（けんちちょう）とは

検地帳は、各村の土地の状況や年貢高を記録し、村単位でまとめられた帳簿です。別名を水帳とも呼ばれ、封建領主が土地や人々を支配するための基本的な台帳として利用されました。

検地の実施と背景

室町から戦国期にかけて、日本各地で検地が行われ、各地域の権力者である戦国大名がこの作業を指揮しました。これによって、年貢高や増分を詳細に把握し、統一的な年貢・諸役の賦課制度である「貫高制」が確立されました。

この期間の検地は、戦国大名が自ら検地使を派遣して実測する方法と、地頭や寺社に任せて実施される「指出」と呼ばれる方法の二つがありました。検地帳はその際に作成された野帳などの文書を基に、地域ごとに整理されて編纂されました。

検地帳の変遷

検地帳は戦国時代には書式が統一されておらず、村別の記述内容にはばらつきがありました。例えば、「村切」の制度が未確立であり、検地帳の詳細さには地域ごとの差異が存在したのです。しかし、豊臣政権（太閤[[検地]]）や江戸幕府（寛文・延宝検地）の時代になると、次第に統一された書式が定められました。

また、統一される以前の時期は、地方における政権の支配状況が未完成で、実際の検地内容がそのまま反映されているかどうかに疑問が残るケースも多く見られました。

検地帳の構成

検地帳の表紙や巻末には、検地が行われた村名、実施日、担当役人などが記録され、内部には各村の年貢や土地の情報が詳細に記されています。具体的には、田畑や屋敷地について、字名（所在地名）、地目（土地の種類）、品位（品質の等級）、面積、分米（石高）、名請人の情報が一筆ごとに記載されるのです。

さらに、屋敷地については居住者の身分（村役人や僧侶、一般農民など）に関する情報も含まれ、山林や沼沢、荒地についても記述されます。各土地の記述が完了した後、村全体の統計が取りまとめられ、村高が決定されます。

検地帳は同じ内容のものを二冊作成し、一冊は検地役人が、もう一冊は村役人が保管します。名請人の記載は主に二つの方法があり、年貢や諸役を負担する義務者を直接記載する方法と、土地の実際の耕作者を併記する方法があります。

検地帳の意義

検地帳はただ単に年貢高を把握するための帳簿とされるだけでなく、国絵図の作成や地域開発の状況を知るための重要な資料ともなりました。そのため、江戸時代を通じて検地帳に記された情報は、後の「土地台帳」や「登記簿」として受け継がれていきます。

今日においても、土地区画の単位が「筆」と呼ばれるのは、検地帳の影響を受けているためです。このように、検地帳は日本の土地管理の歴史において重要な位置を占めています。

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