正義

正義の概念

正義（せいぎ）とは、倫理、法律、合理性、自然法、宗教、公正などに基づく道徳的な正しさを表す概念であり、明治以降は「義」の代わりに用いられるようになりました。その意味合いは広範であり、日常的には道理に適った正しい行い全般を指します。従って、その対義語は「不義」となります。正義に関する学問を正義論と呼び、その中で様々な角度から正義の実質的内容が探究されています。

正義の種類

正義にはいくつかの種類があります。以下にその代表的なものを説明します。

1. 報復的正義

報復的正義は、適法に証明された犯罪に対する適切な対応を定め、刑罰が道徳的に正しいとみなされる概念です。この考え方では、同害報復が一例として挙げられ、「目には目を、歯には歯を」という言葉に集約されています。

2. 修復的正義

修復的正義は、加害者と被害者の対話を通じて行われる自己反省のプロセスを意味します。この概念は、被害者が自身の受けた被害を理解し、加害者もその行為を考察することを目指しています。参加者が他の関係者になることもあり、刑事政策の一環として比較的新しい形態の正義です。

3. 配分的正義

配分的正義は、各人に相応しいものを配分することを指します。この考え方は、平等主義に基づき、各人が等しく何かを持つべきであるとする立場を取ります。具体例としては、労働に応じた報酬の配分などが挙げられます。ここでの重点は、各人が持つべきものを比例的に手に入れることです。

4. 匡正的正義

匡正的正義とは、曾て存在した正しい状態を回復することを目指します。不当な利益や損害を被った場合、返還や放棄を通じて本来いるべき状態に戻すことが求められます。損害賠償や不当利得返還がこの正義の代表的な実例です。

正義論の歴史

古代の正義論

古代の思想家たちは正義について様々に論じました。プラトンは『国家』において、個人と国家の正義が調和することを提唱し、正義はその調和であると述べました。彼にとって正義は、各人が自らの役割を全うすることで実現されるものでした。一方、アリストテレスは正義を広義と狭義に分け、狭義の中で配分的正義と匡正的正義を区別しました。

近代・現代の正義論

近代に入ると、正義の必要性が強調され、1971年にアメリカの哲学者ロールズが「正義論」を著しました。彼は相対主義の中で正義を再構築し、二つの主要原理を提唱しました。第一は基本的自由に対する平等の権利、第二は社会的・経済的不平等が最も恵まれない人の利益を最大化できる場合にのみ許可されるというものです。ロールズの理論は「ロールズ研究産業」と呼ばれるほど多くの影響を与え、今もなお正義の議論において重要な役割を果たしています。特に、正義においては公正さが重視されており、日常的に語られる正義とは異なるニュアンスを持つとされています。

結論

正義は歴史を通じて多様な形で論じられ、現代においても関連性の高いテーマとして探求されています。その概念は、道徳的正しさの探究から社会制度の構築に至るまで、幅広く影響を及ぼしています。

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