武器貿易条約

武器貿易条約（ATT）

武器貿易条約（Arms Trade Treaty、略称：ATT）は、通常兵器の国際的な移転を管理するための合意であり、特に大規模な殺傷やテロ行為への兵器利用を防ぐことをその主な目的としています。この条約の事務局はスイスのジュネーブに設置されています。

目的と意義

通常兵器が不正に流通することを防止するため、ATTは国や地域における平和と安全を確保することを目指しています。具体的には、武器の取引が貧困の悪化、暴力の増加、そして国際的な緊張を引き起こす可能性があることから、その管理が急務であると認識されています。条約の目的は、合法的な取引と不正規の取引の間に明確な線引きを設けることです。

歴史的な背景

ATTの構想は、1990年代後半に当時のコスタリカ大統領オスカル・アリアスを含むノーベル平和賞受賞者たちによって提起され、これに反響したNGOや国際法学者が参加する形で進展しました。2003年から始まった「コントロール・アームズ」キャンペーンは、世界中でATTの必要性を訴える大規模な運動となり、次第に国連の場に議題として持ち込まれていきました。

2006年、ATTに関する決議案が国連総会において圧倒的な賛成多数（153か国賛成）で採択され、その後も各国の協議を経て、いよいよ条約の具体的な策定へと向かいました。2009年からはATTに関する準備会合が複数回開催され、主要な国々（メキシコ、ノルウェー、オーストラリアなど）が積極的に交渉に参加し、2012年7月にはニューヨークでATTの最終交渉が行われることとなります。

2013年4月、国連総会で正式に武器貿易条約が採択され、賛成したのは156か国、反対したのは北朝鮮、イラン、シリアの3か国、棄権したのは22か国でした。条約が発効するためには、50か国の批准が必要であると定められています。

対象となる兵器

ATTが対象とする通常兵器には、大型武器と小型・軽兵器が含まれています。具体的には、戦車、装甲戦闘車両、大口径火砲、軍用艦艇、攻撃用ヘリコプター、戦闘機、ミサイル及びミサイル発射装置などが挙げられます。これらの兵器の国際的な移転は、各国が求める基準や適正な目的に基づいて厳格に管理されることが求められます。

各国の参加状況

2014年にATTが採択された後、多くの国がこの条約に加盟する手続きを進めました。日本もその一国であり、2014年に批准を行い、条約を適用するための手続きを完了させました。この段階での締約国数は113か国に達し、条約が定める目標に向けて歩みを進めています。

結論

武器貿易条約は、国際的な安全保障を強化するために不可欠な枠組みを提供します。兵器の暴力的な使用を抑止し、平和的な解決策を見出す努力が続けられています。各国がこの条約を遵守することで、より安全な国際社会への鉄道が築かれることを期待しています。

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