武隈祥太

武隈祥太：西武ライオンズの技巧派左腕投手

1989年生まれの武隈祥太氏は、北海道を代表する左腕投手として15シーズンにわたり埼玉西武ライオンズで活躍しました。高校時代は甲子園出場経験こそありましたが、全国的には無名選手でした。しかし、持ち前の才能と努力でプロの世界へと進み、数々の活躍を残しました。

高校時代からプロ入りまで

小学5年生から野球を始め、中学時代は旭川北稜球シニアで全国大会出場を経験。旭川工業高校時代は、1年生の夏に甲子園に出場したものの、登板機会はありませんでした。公式戦では8試合に登板し、防御率1.23と安定した投球を見せました。高校3年生の5月、練習中に負傷したにもかかわらず、懸命なリハビリでチームを地区代表決定戦まで導きました。

2007年に行われたドラフト会議で、西武ライオンズから4巡目で指名を受けプロ入りを果たします。旭川工業高校からは1983年の星野伸之氏、2002年の鈴木貴志氏に続く3人目のプロ野球選手となりました。

西武ライオンズでの活躍

ルーキーイヤーはイースタンリーグで経験を積み、2009年に一軍初登板を果たしました。2010年にはプロ初勝利、そして初先発登板と着実にステップアップを遂げました。

その後も、敗戦処理やロングリリーフ、先発と様々な役割を担い、チームの勝利に貢献しました。2012年には開幕一軍入りを果たし、ソフトバンク戦では7回2/3をノーヒットピッチングと好投を見せ、自身初の先発勝利を挙げました。しかし、左肘の故障などもあり、その後は一軍と二軍を行き来する日々が続きました。

2014年からは左の中継ぎとして定着し、ワンポイントからロングリリーフまで、様々な場面でチームを支えました。2015年には、シーズンを通して一軍に帯同し、プロ初セーブも記録。2016年、2017年と2年連続で60試合以上登板するなど、チームの屋台骨を支える存在となりました。

2018年には先発転向に挑戦しましたが、再び中継ぎに回り、セットアッパーとして安定した投球を続けました。しかし、疲労や肩の故障の影響もあり、成績は下降。2019年は先発と中継ぎを行き来するも、肩肘の炎症や股関節の痛みに悩まされ、登板数は減少しました。2020年は股関節の状態が悪く、わずか3試合の登板に終わりました。

2021年には復活を遂げ、左のワンポイントとして46試合に登板。キャリアハイとなる防御率1.76を記録し、チームに貢献しました。

引退とその後

2022年シーズン、左肩の故障により実戦登板から遠ざかり、現役引退を表明。引退試合は行わず、引退セレモニアルピッチを行いました。

引退後も西武ライオンズに残り、球団本部ファーム・育成グループ付兼バイオメカニクス兼若獅子寮副寮長に就任。2024年からは、球団本部ハイパフォーマンスグループ付バイオメカニクス担当兼ファームコンディショニングチェック担当に就任しました。

投球スタイル

武隈氏の持ち球は、ストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップの4球種。ストレートは140km/h前後ですが、バックスピン量がパリーグトップレベルと分析されています。特に、松坂大輔氏の握りを参考に習得したチェンジアップは、120km/h台ながら大きなブレーキがかかり、打者を翻弄する決め球となりました。柳田悠岐選手からは「魔球」と称賛されたほどです。左のワンポイントとして起用されることも多かったですが、右打者への対応にも長けていました。

人物像

愛称は「クマ」。2017年からは、炭谷銀仁朗氏が行っている難病と闘う子どもとその家族への支援活動にも参加し、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。

武隈祥太氏は、持ち前の才能と努力、そして周囲の支えによって、プロ野球選手として素晴らしいキャリアを築き上げました。彼の功績は、これからも西武ライオンズの歴史に刻まれることでしょう。そして、引退後も球団に貢献し続ける彼の今後の活躍にも期待が高まります。

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