水郷つくば農業協同組合

茨城県を活動区域とする水郷つくば農業協同組合、通称JA水郷つくばは、県南地域における農業振興と地域社会への貢献を目指して設立された組織です。

この農業協同組合は、2019年（平成31年）2月1日に、それまで茨城県南部にあった三つの農業協同組合が統合することで誕生しました。統合母体となったのは、土浦農業協同組合（JA土浦）、竜ケ崎農業協同組合（JA竜ケ崎）、そして茨城かすみ農業協同組合（JA茨城かすみ）です。三農協の統合により、JA水郷つくばは貯金残高および正組合員数のいずれにおいても、茨城県内で2番目に大きな規模を持つ農業協同組合となりました。

統合前の各農協は、それぞれの地域において特色ある農業生産を推進していました。具体的には、JA土浦は全国有数の産地として知られるレンコンの生産に強みがあり、JA竜ケ崎はトマトや大根といった野菜の栽培が盛んでした。また、JA茨城かすみは、高い食味評価を受けるブランド米であるコシヒカリや、高品質なマッシュルームの生産に力を入れていました。JA水郷つくばの発足は、これらの地域色豊かな農業資源を結集し、より広範なエリアでの事業展開を可能にすることを目的としています。

新しい農業協同組合の名称に「つくば」という地名が冠された背景には、将来的に近隣のつくば市農業協同組合など、他の農業協同組合との連携強化やさらなる統合を視野に入れているという戦略的な意向が込められています。

この合併に至るまでには、一時計画が危ぶまれる事態も発生しました。2018年8月25日には、当時の茨城県知事も立ち会う中で合併契約の調印が行われ、合併に向けた具体的な手続きが進められました。しかし、存続法人となる予定だったJA竜ケ崎の臨時総代会において、合併承認に必要な出席者の3分の2以上の賛成が得られず、議案が否決されてしまったのです。この結果、合併計画そのものが暗礁に乗り上げる可能性が出てきました。

しかし、この総代会での否決に対し、合併の必要性を強く感じていた多くの正組合員が立ち上がりました。彼らは、正組合員の5分の1を超える、1500人以上に及ぶ署名を集め、理事会に提出し、改めて臨時総会を開催して合併議案の再審議を行うよう求めました。組合員の熱意に応える形で、同年9月24日に再度臨時総会が開催されました。この臨時総会では、今度は必要な3分の2以上の賛成票が無事に得られ、合併議案は可決されました。このように、一度は困難に直面した合併計画は、組合員の積極的な行動と強い意志によって最終的に実現へと漕ぎ着けるという、まさに「紆余曲折」を経て成立したのです。

新JA水郷つくばの本店機能は、発足当初、旧JA土浦の本店所在地に置かれました。組織再編に伴い、旧JA竜ケ崎本店、旧JA茨城かすみ本店、そして旧JA土浦の旧本店跡地には、それぞれ地域の中核拠点となる地区本部が設置され、広範な営業区域をカバーするための体制が構築されました。その後、業務効率化やサービス向上を図るため、2020年4月13日には本店が土浦市小岩田西の新たな所在地へと移転しています。

JA水郷つくばが主な営業活動を行う区域は、土浦市、龍ケ崎市、牛久市、かすみがうら市、利根町、阿見町、美浦村といった、茨城県南部の広い範囲にわたっています。これらの地域に根ざし、農業振興と組合員・地域住民の生活向上に貢献する活動を展開しています。

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