江崎浩

江崎浩（えさき ひろし）は、1963年1月18日生まれの情報工学者です。東京大学大学院情報理工学系研究科の教授を務める傍ら、デジタル庁のチーフアーキテクト、WIDEプロジェクトの代表、日本ネットワークインフォメーションセンターの理事長など、日本の情報技術分野における重要な役職を数多く兼任しています。また、北海道顧問として再生可能エネルギーの活用促進にも取り組むなど、その活動は多岐にわたります。

福岡県筑後市出身の江崎氏は、1985年に九州大学工学部電子工学科を卒業後、1987年に同大学院工学研究科電子工学専攻修士課程を修了しました。その後、東芝に入社し、総合研究所通信機器研究所に所属。1990年にはベルコア、1994年にはコロンビア大学電気通信研究所に客員研究員として在籍し、国際的な研究活動にも積極的に参加しました。1997年には東芝コンピュータネットワークプロダクト事業部に異動し、実務経験を積みました。

1998年、東京大学大型計算機センター研究開発部助教授に就任。WIDEプロジェクトの運営協議会委員も務め、博士（工学）の学位を取得しました。1999年には東京大学情報基盤センタ研究開発部助教授となり、WIDEリサーチ取締役、アヴァブネットジャパン取締役も兼任しました。2001年には東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻助教授に就任し、2005年には同研究科の教授へと昇進しました。その後も、IRIユビテック取締役、日本データセンター協会理事・運営委員長、アルテリアネットワークス取締役などを歴任し、幅広い分野で活躍しています。

2021年にはデジタル庁チーフアーキテクトに就任し、デジタル社会の実現に向けた政策立案や技術戦略の策定に貢献しています。2023年には北海道顧問（再生エネルギー活用促進担当）に就任し、再生可能エネルギーの普及と活用を推進する役割を担っています。また、北海道ニュートピアデータセンター研究会副代表も務め、データセンターの持続可能性に関する研究にも取り組んでいます。

WIDEプロジェクトでは、長年にわたりインターネット技術の研究開発を牽引し、日本のインターネットの発展に大きく貢献してきました。日本ネットワークインフォメーションセンター理事長としては、日本のインターネット資源の管理と運営を担っています。

著書も多数あり、主なものとして、『ネットワーク工学―インターネットとディジタル技術の基礎』、『なぜ東大は30％の節電に成功したのか？』、『インターネット・バイ・デザイン: 21世紀のスマートな社会・産業インフラの創造へ』、『サイバーファースト　デジタルとリアルの逆転経済』などがあります。これらの著書を通じて、情報工学やインターネット技術に関する深い知見を広く社会に発信しています。

2007年には、船井情報科学振興賞を受賞しており、その卓越した研究業績が高く評価されています。江崎浩は、情報工学の研究者としてだけでなく、社会実装にも積極的に取り組む実践家として、日本の情報技術の発展を支える重要な人物と言えるでしょう。

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