沖縄県平和祈念資料館

沖縄県立平和祈念資料館について

沖縄県立平和祈念資料館は、沖縄戦の歴史と平和の重要性を伝えるため、2000年4月に沖縄県糸満市の平和祈念公園内に開館しました。この資料館は、単なる戦史の展示に留まらず、住民の視点から沖縄戦の実態を深く掘り下げ、平和への願いを込めた展示が特徴です。

資料館設立の経緯

資料館の設立は、1963年に沖縄戦資料館設置期成会が結成されたことに始まります。1971年には「沖縄戦資料館の設置趣意書」が発表され、資料展の開催などを経て、1975年に沖縄県立資料館として開館しました。この設立には、当時の佐藤内閣の復帰問題担当大臣であった山中貞則氏の意向が大きく影響しました。その後、1976年には運営協議会が発足し、1978年には展示内容が一新されました。

1991年には、平和祈念公園整備の一環として資料館の改築が計画され、1996年に移転改築が決定しました。1999年に着工、74億円の予算を投じて新資料館が建設され、2000年3月には旧資料館が閉館、同年4月1日に新資料館が一般公開されました。新資料館は、平和の火を中心とした同心円状の配置や、沖縄の伝統的な民家を思わせる低層設計が特徴的です。

展示内容の変遷

旧県立資料館は、開館当初、戦没者慰霊奉賛会によって運営され、旧帝国陸軍の遺品などを中心とした展示でした。しかし、1975年には沖縄戦の研究者たちが展示内容の問題点を指摘し、改善を求める意見書を提出しました。1978年のリニューアル開館では、沖縄戦における住民の虐殺など、反戦平和運動の主張が色濃く反映された展示へと大きく変わりました。特に、沖縄戦の記録が少ないことから、住民の証言を多角的に集めた展示が特徴的です。

現在の平和祈念資料館では、沖縄戦を住民の視点から捉え、「米軍占領下の沖縄住民」「アジア・太平洋の中の沖縄」「基地の重圧と住民」「燃え上がる復帰運動」「復帰した基地沖縄」「21世紀の平和創造と沖縄」といったテーマで展示を行っています。

展示内容を巡る議論

展示内容は、大田県政時代に進められたもので、資料館監修委員会には、反米軍基地運動に関わる人物が複数含まれていました。そのため、展示内容が特定の政治的立場に偏っているとの批判がありました。具体的には、日本軍の対沖縄人観や従軍慰安婦に関する記述の削除が指示されたり、沖縄戦の表現が修正されたりするなどの動きがありましたが、地元メディアや関係団体からの強い反発を受け、最終的には監修委員会の当初の展示内容に戻されました。

このように、平和祈念資料館は、設立から現在に至るまで、展示内容を巡る様々な議論を経てきました。この歴史は、沖縄戦の記憶をどのように伝えていくのかという、現代社会における重要な問題を提起しています。

関連施設など

八重山平和祈念館: 石垣市にある兄弟施設です。
沖縄県平和祈念財団: 資料館の運営を支援する団体です。

外部リンク

沖縄県平和祈念資料館 公式HP)
沖縄県平和祈念資料館 (@peace_m_okinawa) - X（旧Twitter）

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