津波フラッグ

津波フラッグとは？

津波フラッグは、地震発生時に海岸で津波への警戒を呼びかけるための旗です。主にライフセーバーが掲げ、建物などに設置されることもあります。2005年から使用され始め、2020年6月には気象業務法に基づき規格化され、全国の自治体やライフセービング団体で活用されています。

2021年には、日本ライフセービング協会が長年の普及活動により、気象庁長官表彰を受賞しました。デザインは国際信号旗のU旗と同じで、赤と白の格子模様が特徴です。

導入の背景

2004年のスマトラ島沖地震を受け、日本ライフセービング協会は津波対策の検討を開始しました。2011年の東日本大震災では、音声による情報伝達の限界が明らかになり、視覚的な情報伝達の重要性が認識されました。

各地で独自の旗が使用されていましたが、統一された規格の必要性が高まりました。2011年には中央防災会議で言及され、神奈川県などから国への要望も出されました。気象庁も法令整備の可能性を認識しつつ、当初は規制強化を懸念して法制化を見送りました。

その後、関係団体や日本財団の支援により、気象庁は2019年から検討会を設置し、2020年6月に気象業務法施行規則を改正。津波フラッグの使用とデザインを定め、法制化に至りました。

デザインの特徴

津波フラッグは、赤と白の格子模様です。比率やサイズに厳密な決まりはありませんが、視認性を考慮して短辺100cm以上が推奨されています。国際信号旗のU旗（貴船の進路に危険あり）と同一のデザインであり、海外では緊急避難を知らせる旗として広く認識されています。

制定にあたり、海水浴場での視認性テストを実施。オレンジ色や赤色の旗と比較検討した結果、以下の理由から現在のデザインが採用されました。

視認性が高い
色覚の差に影響しにくい
国際的に認知されている
遊泳禁止と混同しない

法制化への批判

津波フラッグの法制化には、以下のような批判もあります。

U旗は元々危険を意味するため、重ねて津波避難用とする意義が薄い
規格通りの旗を設置しても、気象庁からの優先的な情報提供などのメリットがない一方的な規制である
法規制が官民連携を阻害する可能性がある
民間による予報・警報の伝達の創意工夫を妨げる可能性がある

これらの批判は、法制化が過剰な措置であるという主張に基づいています。

まとめ

津波フラッグは、津波の危険を視覚的に伝える重要なツールです。導入の背景には、東日本大震災の教訓や情報伝達の課題がありました。デザインは国際的に認知されたU旗を採用し、視認性にも配慮されています。法制化には批判もありますが、津波防災における役割は大きいと言えるでしょう。

関連情報

津波フラッグ - 気象庁
津波フラッグについて - 日本ライフセービング協会
* 津波が来るぞ すぐ避難！「津波フラッグ」は避難の合図 - YouTube - 日本ライフセーバー協会の動画

もう一度検索