浮世の夢

『浮世の夢』は、エレファントカシマシが1989年に発表した3枚目のオリジナルアルバムです。前作から9ヶ月という短い期間でリリースされ、バンドの初期の勢いを感じさせる作品となっています。

アルバムは、初回盤と通常盤の2種類で発売されました。初回盤は、歌詞ブックレットに多数の写真が掲載されているのが特徴で、ファンにとっては貴重なアイテムとなっています。ジャケット写真は、写真家のハービー山口が東京都北区赤羽の赤羽一番街商店街で撮影したもので、下町情緒あふれる風景が印象的です。

収録曲は、全10曲。全曲とも宮本浩次が作詞・作曲を手掛けていますが、「GT」のみ高緑成治との共作となっています。編曲は、エレファントカシマシが担当。「冬の夜」のみ宮本浩次が単独で編曲しています。

アルバムのオープニングを飾る「序曲」夢のちまたは、インストゥルメンタル曲で、夢幻的な雰囲気が漂います。続く「うつら うつら」は、宮本のボーカルが力強く響くナンバー。「上野の山」は、都会の喧騒の中で生きる人々の孤独を描いた楽曲です。

「GT」は、高緑成治との共作で、喫煙とヘビースモーカーを題材にした異色の作品。4thシングルのカップリング曲としてもリリースされました。「珍奇男」は、7分を超える大作で、宮本の独特な世界観が炸裂しています。「浮雲男」は、4thシングルとしてリリースされた楽曲で、アルバムの中でも人気の高い曲の一つです。

「見果てぬ夢」は、希望と絶望が入り混じるような歌詞が印象的なナンバー。「月と歩いた」は、美しいメロディーが心に染み渡ります。「冬の夜」は、宮本浩次が単独で編曲を手掛けた楽曲で、冬の寒さを感じさせるような静かで美しい曲です。

『浮世の夢』は、エレファントカシマシの初期の代表作の一つであり、彼らの音楽性を確立する上で重要なアルバムと言えるでしょう。宮本浩次の独特な歌詞と力強いボーカル、そしてバンドの演奏が一体となり、聴く者の心を揺さぶります。

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