消費者

消費者の定義と役割

消費者（しょうひしゃ）とは、財やサービスを利用する主体を指し、一般的に代金を支払って最終的に商品を使ったりサービスを受けたりする個人や団体を意味します。法人が購入した商品を再販する場合、または法人が製造する製品の部品を購入するケースは、産業消費者や使用者と呼ばれることがあります。これに対し、単に購入したい商品のために消費を行う個人を世帯消費者あるいは最終消費者と区別します。

消費者の位置づけ

興味深いのは、企業に勤める一人でも、日常生活を送る限りは消費者としての側面を持つということです。例えば、農業を営む農家も、自分で育てた作物以外の食料や衣類、他の生活必需品を購入することで消費者となります。このように考えると、国民全員が何らかの形で消費者であるといえるでしょう。

消費者の権利と保護

しかし歴史的には、消費者は経済上の最大集団であるにもかかわらず、組織化されることがなかったため、企業に対して発言力を持たず、不利益を被ることが多かったのです。特に企業が製造した商品の欠陥によって消費者が被害を受けても、損害賠償を求めることが難しかった時代もありました。

消費者特有の課題は、主に次の三点にまとめられます。
1. 供給者と消費者の経済的格差：消費者は商品に関する情報が限られ、企業に比べて不利な立場にあります。
2. 消費者の脆弱性：生活必需品のコストは直接的な生活に影響を及ぼすことがあり、損失が小さくても深刻な影響を受けやすいのです。
3. 負担転嫁の難しさ：企業は損失を他者に転嫁できる場合が多いのに対し、消費者はその責任を自身で全面的に負う必要があります。

消費者運動の歴史

イギリスやアメリカでは、消費者問題の重要性が認識され始めたのは19世紀中頃、特に1960〜70年代にかけて高度な消費者運動が展開されました。アメリカのラルフ・ネーダーが企業の安全性問題を告発し、消費者としての権利を主張した事例が有名です。

一方、日本では戦後、主婦たちによる運動がさまざまな消費者問題を浮き彫りにしました。1945年には「おしゃもじ運動」が展開され、この運動を契機に1950年代に消費者基本法が制定されるまで多くの運動が盛り上がったのです。この法律は、消費者に対しての権利を認めることで、産業優先から消費者優先の視点へと転換するための土台となりました。

消費者の権利

消費者には、基本的に次のような権利があります。

• - 安全の権利：消費者は安全性が確保された商品を求める権利を持っています。
• - 選択の権利：さまざまな商品やサービスから選ぶ権利があります。
• - 知る権利：商品についての情報を適切に提供される権利があります。
• - 意見を聞いてもらう権利：消費者の意見が事業者に考慮される権利があります。

多くの権利は単に自然に与えられるものではなく、消費者がそれを得るためには活動することが求められています。そのため、消費者としての責任が重要視されるようになってきました。

法律と制度

日本では、消費者に関連する多くの法令が整備されています。訪問販売法や製造物責任法など、消費者を保護するための法律が複数存在しています。最近の動向としては、2015年に約款に関する規定が見直され、消費者の利益を不当に害する約款は無効とされる方向に進んでいます。

まとめ

消費者はその経済活動において重要な位置を占めており、その権利を保護するためには消費者自身の努力も不可欠です。消費者としての意識を高め、自分自身の権利をフォローすることで、より良い生活環境を築いていくことが求められています。

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