液冷

液冷とは

液冷とは、エンジンやコンピュータなどの発熱する物体を冷却する際に、液体を用いて熱を移動させる方式です。空冷の対義語として用いられます。

液冷の原理と特徴

液体に熱を吸収させて移動させ、別の場所で放熱させるというシステムにより、熱源から離れた場所で広い面積から放熱させることが容易になります。そのため、熱源の周囲の空気を用いて直接熱源を冷却する空冷よりも効果的に冷却できます。また、コジェネレーションによる排熱利用にも適しています。

一般的に、冷却媒体としては水が用いられることが多いですが、凍結防止や冷却液・部品の劣化防止、沸点上昇などを目的に、添加剤を加えた水溶液が用いられることもあります。エンジンオイルを冷却に利用する油冷エンジンも存在します。油冷は、導電性のある水を嫌う電力機器などでも利用されています。

液冷のメリット・デメリット

メリット:

高い冷却効率
排熱利用への適性
特定の環境下での安定した冷却性能

デメリット:

冷却液の必要性
水冷の場合は水密性の確保が必要
漏洩時のリスク
* 部品点数の多さ

コンピュータにおける液冷

コンピュータの冷却に液冷が用いられるようになってから50年以上が経過しました。パーソナルコンピュータでは、発熱の大きいプロセッサを効率的に冷却するために液冷が採用されることがあります。また、ファンによる騒音を抑制したい場合にも有効です。

液浸冷却

非導電性の液体にメインボードを直接浸して冷却する方式は、浸漬液冷と呼ばれます。HPC分野では、フロリナート液浸が歴史のある手法として採用されています。近年では、ポリアルファオレフィン油浸や、沸点の低い有機化合物「Novec」による蒸散冷却なども試みられています。

今後の展望

液冷技術は、より高性能なコンピュータや省エネルギーなシステムの実現に不可欠な技術として、ますます重要性を増していくと考えられます。今後は、冷却効率の向上やコスト削減、環境負荷の低減などが、より一層求められるでしょう。

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