清拭

清拭（せいしき）について

清拭、英語での表現は "bed bath" は、入浴やシャワーが難しい患者や病弱な高齢者のために、身体を拭いて清潔に保つ処置です。この方法は単に皮膚の衛生を維持するだけでなく、マッサージ効果もあり血行を改善することができ、さらには親密なコミュニケーションを促進する要素も含まれています。看護現場では「ベットバス」や略して「BB」とも呼ばれることがあります。

清拭の種類

清拭は、全身を拭く「全身清拭」と、特定の部位を拭く「部分清拭」の2種類に分けられます。病状や体調によって全身清拭が患者に負担となる場合、部分清拭を2日から3日に分けて行うことがあります。方法としては、水と石けんを使ったり、単にお湯だけを使うもの、さらには沐浴剤を用いる方法もあります。皮膚に異常がある場合には、ハッカ湯やよもぎ湯を使ったり、オリーブオイルで汚れを落としてからお湯で拭く方法も考えられます。また、熱いタオルを使った「熱布清拭」により、リラックス効果が期待できる場合もあります。患者の状態に応じて適切な方法を選び、快適さをもたらすことが求められます。

清拭の手順

清拭を行う際には、まず患者の同意を得ることが大切です。その後、排泄を済ませたうえで、室温を約24℃に保ち、直接的な風が当たらないように配慮します。清拭には50℃から55℃のお湯を用意し、必要に応じて温かいお湯を補充するためのピッチャーも準備します。さらに、清拭後に体を拭くための乾いたタオルと、着替えの下着も用意しておきます。

全身清拭

全身清拭は、頭皮を除く全身を拭く処置です。一般的には、汚れの少ない部分から始めて汚れが多い部分へと進めます。具体的には、頭、耳、首、上肢、胸部、腹部、背部、腰部、下肢、最後に陰部といった順で行われることが多いです。自分で拭ける部分は患者に熱いタオルを渡し、自分で行わせることで、協力を得ることができます。手足はお湯に浸けて手浴や足浴を行うことで、リラックス効果も期待できます。

部分清拭

部分清拭は、上半身、下半身、あるいは特定の背中など一部位に焦点を当てた清拭です。患者が体力を消耗していたり、清拭を好まない場合には、全身清拭を分けて数日にかけて行うことも計画的に進められます。また、排泄物や嘔吐物による汚れや、発汗による汚れがある場合にも部分清拭が施されることが一般的です。

清拭車の役割

清拭車は、必要なタオルを加湿したり保温したりする移動可能な装置です。湿ったタオルを加温器に入れ、適温に保つことで、作業の効率を向上させる役割を果たしています。通常、60℃以上に加熱されるため、取り出し時にはゴム手袋を使用する必要があります。これにより、適切な温度で保たれたタオルを使用することができ、安全に清拭を行う助けとなります。

清拭は、看護師や介護者が行う重要なケアの一部であり、それによって患者の快適さと健やかな生活を支える役割があると言えるでしょう。

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