渡邉良重

渡邉良重：多様な創造性を駆使するアートディレクター、グラフィックデザイナー

渡邉良重氏は、1961年山口県生まれの日本を代表するアートディレクター、グラフィックデザイナーです。山口大学卒業後、DRAFT.を経て、2012年に植原亮輔氏と共にデザイン事務所「KIGI」を設立しました。

彼女の活動は、企業やブランドのアイデンティティ構築におけるアートディレクションから、グラフィックデザイン、空間デザイン、プロダクトデザインまで多岐に渡ります。単なるデザインの枠にとどまらず、アートプロジェクトへの参加や、展覧会、イベントなどの企画を通して、クリエイションの新たな可能性を模索し、創造的な「場」を積極的に生み出していることが特徴です。

幅広い活動と代表作

渡邉氏の活動は、多様な分野に及びます。1997年から現在まで続くプロダクトブランド「D-BROS」のデザインや、モスバーガーの新聞広告（1997年）、仙台のベーカリー&カフェ「CASLON」（1999年）のデザインなど、初期から商業デザインで高い評価を得てきました。

その後も、ジュエリーブランド「PROPONERE」のパッケージデザイン（2005年）、ミキモト銀座4丁目本店のウインドウディスプレイ（2007年）、花王「SOFINA beaute」のリニューアル（2008年）、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」（2009年～）など、数多くの企業やブランドのプロジェクトに携わっています。

近年では、那須塩原の複合施設「森をひらくこと T.O.D.A」（2012年）、静岡の文化複合施設「クレマチスの丘」10周年企画（2012年）、ファッションブランド「CACUMA」（2013年～）、沖縄のプロダクト「琉Q」（2013年～）、洋菓子ブランド「AUDREY」（2014年～）、プロダクトブランド「KIKOF」（2014年～）など、多様なジャンルのクライアントとの協働を通じて、独自のクリエイティブな世界観を表現し続けています。

また、アプリ「MERRY BOOK ROUND」（2014年）、ギャラリー&ショップ「OUR FAVOURITE SHOP」（2015年～）のオープン、資生堂・BENEFIQUEのアニメーション「Bを探しに」（2015年）、石川直樹氏の写真展「この星の光の地図を写す」展（2016～2019年）のデザインなど、デジタル領域やアート表現にも積極的に取り組んでいます。

さらに、大規模な空間演出にも携わっており、山口大学医学部付属病院新病棟の施設内アートワーク（2018年）、インターコンチネンタル横浜Pier8、白井屋ホテルの客室内アートワーク（2020年）、など、建築空間のデザインにもその才能を発揮しています。

多彩な受賞歴と出版物

渡邉良重氏の作品は、高い評価を受け、国内外で数々の賞を受賞しています。主な受賞歴には、東京ADC賞、JAGDA新人賞、JAGDA賞、講談社出版文化賞・ブックデザイン賞、東京TDC賞、東京ADC会員賞、東京ADCグランプリ、第19回亀倉雄策賞などがあります。海外では、NY ADC GOLD、ONE SHOW DESIGN GOLD、D&AD GOLD Yellow Pencilなどを受賞しています。

また、絵本「BROOCH」「UN DEUX」「ジャーニー」「しんじゅのこ」や作品集「キギ/KIGI」「KIGI_M_001～004」など、多くの出版物を発表しており、そのクリエイティブな視点は、デザインの枠を超えた表現として評価されています。

渡邉良重氏の活動は、多様な分野を横断し、その創造的なエネルギーは、これからも多くの人の心を捉え続けるでしょう。

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