湘南ゴールド

湘南ゴールド：神奈川県を代表する柑橘

湘南ゴールドは、神奈川県が開発した柑橘品種です。今村温州と、県西部で栽培されるゴールデンオレンジを掛け合わせることで誕生しました。長年の選抜と特性調査を経て、1999年に育成が完了。2006年から本格的な出荷が始まり、現在では神奈川県を代表する農産物として広く認知されています。

開発の背景と特徴

湘南ゴールド開発の背景には、柑橘類生産の低迷がありました。生産者の経営悪化を防ぐため、神奈川県農業技術センターが新たな柑橘の開発に着手。その結果生まれた湘南ゴールドは、華やかな香りと、最大12度という高い糖度を誇ります。また、ゴールデンオレンジの欠点であった果実の小ささを克服し、温州みかんのような食べ応えを実現しました。さらに、温州みかんの出荷が終了する4～5月に出荷できるため、市場価値を高めることに成功しています。収穫後、仮貯蔵することで酸味が和らぎ、より芳醇な風味を楽しめるようになります。

ブランド化に向けた取り組み

湘南ゴールドは、神奈川県ブランド「かながわブランド」にも選定されており、県をあげての積極的なブランド化戦略が展開されています。当時知事であった松沢氏や黒岩氏は、横浜高島屋での販売促進イベントに自ら参加し、湘南ゴールドの魅力をアピールしました。パティシエとのコラボレーションによるスイーツ開発なども行われ、多様な消費層へのアプローチが図られています。生産者や関係機関による栽培技術の向上や品質管理への取り組みも積極的に行われており、安定した生産体制が構築されています。

加工品への展開

湘南ゴールドの美味しさを活かした加工品開発も盛んに行われています。UHA味覚糖の「ぷっちょ・まぼろしのオレンジ」や、ランチパックなどの人気商品への採用も決定的な成功例と言えるでしょう。また、湘南ゴールドワインや、のど飴など、多様な商品が市場に投入され、消費者の嗜好に合わせた商品展開がなされています。

生産量と展望

初年度の収穫量は450キロと小規模でしたが、2010年には約41.6トンにまで増加しました。これは、神奈川県独自の取り組みと生産者たちの努力の賜物です。今後も、生産量の拡大と品質の維持・向上、さらなるブランド化が期待されています。湘南ゴールドは、単なる柑橘類ではなく、神奈川県の農業技術と地域経済を支える重要な存在となっています。 さらに、地ビールメーカーであるサンクトガーレンは2008年から湘南ゴールドを使用したフルーツビールを製造・販売しており、その高い評価は、湘南ゴールドの多様な可能性を示唆しています。

参考資料

カンキツ新品種'湘南ゴールド'（2004 神奈川県農業総合研究所報告書 第145号）
湘南ゴールド選果作業（YouTube cityodawara）
* 種苗法の説明（PDF：240KB） - 愛媛県

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