片田珠美

片田珠美

片田珠美（かただ たまみ、1961年 - ）は、日本の精神科医であり、作家としても知られています。彼女は、精神医学の専門知識と臨床経験に基づき、現代社会における様々な心理的課題や人間関係の問題を分析し、その知見を広く社会に発信しています。

略歴

1985年に大阪大学医学部を卒業後、精神科医としてのキャリアをスタートさせました。その後、京都大学大学院に進学し、人間・環境学研究科で博士課程を修了しました。さらに、フランス政府給費留学生としてフランスに渡り、パリ第8大学でラカン派の精神分析を学びました。DEA（専門研究課程修了証書）を取得しましたが、博士課程は中退しています。帰国後は、2003年から2016年まで京都大学で非常勤講師を務めました。

人物像

精神科医としての活動と並行して、片田氏は作家としても精力的に活動しています。彼女の著作は、現代社会における犯罪心理や心の病を深く掘り下げたものが多く、その分析は多方面から注目を集めています。彼女自身は、作家としては「鳴かず飛ばず」の時期が長かったと述べていますが、2014年に出版された『他人を攻撃せずにはいられない人』が24万部を超える大ヒットとなり、一躍ベストセラー作家となりました。この成功を機に、多くの執筆依頼が舞い込むようになり、2015年には15冊以上もの書籍を出版しています。

また、片田氏は2013年から2016年まで産経WESTでコラムを連載しており、そのユーモラスな文章も人気を博しました。彼女は自らを「精神医学界の沢尻エリカ」と称するほどの美貌と豪語していましたが、ネット上では「顔面偏差値23」などと書かれることに対し、自嘲的ながらも笑いを誘う文章を綴っていました。広島県出身で、熱狂的な広島カープファンであることも知られています。赤ヘル黄金期に青春時代を過ごしたことが、彼女のアイデンティティ形成に大きく影響を与えているようです。

少女時代には、少女漫画『ベルサイユのばら』に熱中し、フランス革命やマリー・アントワネットに関する書籍を読み漁りました。大学では仏文科に進学し、将来的にパリで生活することを夢見ていましたが、両親（特に母親）の反対により医学部へ進学することになりました。1980年代半ばから市中病院で勤務を開始しましたが、フランスの精神分析家ジャック・ラカンの著作に感銘を受け、フランス語を学び、単身フランスへ留学します。しかし、憧れのパリでの生活は、フランス語が思うように話せないことなどから、外出を嫌がるほどの「パリ症候群」に陥ったと当時を振り返っています。

主な著作

片田珠美は、数多くの著書を執筆しており、そのテーマは多岐にわたります。以下に主な著作を挙げます。

『オレステス・コンプレックス - 青年の心の闇へ』（2001年）
『17歳のこころ - その闇と病理』（2003年）
『攻撃と殺人の精神分析』（2005年）
『薬でうつは治るのか?』（2006年）
『やめたくてもやめられない - 依存症の時代』（2007年）
『こんな子どもが親を殺す』（2007年）
『無差別殺人の精神分析』（2009年）
『一億総ガキ社会 「成熟拒否」という病』（2010年）
『一億総うつ社会』（2011年）
『なぜ、「怒る」のをやめられないのか -「怒り恐怖症」と受動的攻撃』（2012年）
『正義という名の凶器』（2013年）
『他人を攻撃せずにはいられない人』（2013年）
『プライドが高くて迷惑な人』（2014年）
『賢く「言い返す」技術』（2015年）
『他人の支配から逃げられない人』（2015年）
『他人の意見を聞かない人』（2015年）
『怒れない人は損をする! 人生を好転させる上手な怒りの伝え方』（2015年）
『「自分が絶対正しい!」と思っている人に振り回されない方法』（2015年）
『他人の不幸を願う人』（2015年）
『〈図解〉他人を攻撃せずにはいられない人 職場、家庭の困った人から身を守る処方箋40 「害になる人」その避け方、言い返し方、つきあい方』（2015年）
『男尊女卑という病』（2015年）
『母に縛られた娘たち』（2015年）
『自分のついた嘘を真実だと思い込む人』（2015年）
『嫉妬をとめられない人』（2015年）
『孤独病 - 寂しい日本人の正体』（2015年）
『「上司」という病』（2015年）
『自分を責めずにはいられない人』（2015年)
『平気で他人を傷つける人』（2015年）
『許せないという病』（2016年）
『やめたくてもやめられない人』（2016年）
『自己愛モンスター「認められたい」という病』（2016年）
『上手に「自分を守る」技術』（2016年）
『オレ様化する人たち - あなたの隣の傲慢症候群』（2016年）
『自分の都合を押しつける人』（2016年）
『すぐ感情的になる人』（2016年）
『他人を平気で振り回す迷惑な人たち』（2017年）
『騙されない技術』（2017年）
『「正義」がゆがめられる時代』（2017年）
『拡大自殺 - 大量殺人・自爆テロ・無理心中』（2017年）
『忖度社会ニッポン』（2017年）
『高学歴モンスター - 一流大学卒の迷惑な人たち』（2018年）
『被害者のふりをせずにはいられない人』（2018年）
『一億総他責社会』（2019年）
『怖い凡人』（2019年）
『子どもを攻撃せずにはいられない親』（2019年）
『「自分が正義」の人に振り回されない方法』（2019年）
『「不倫」という病』（2021年）
『他人をコントロールせずにはいられない人』（2021年）
『職場を腐らせる人たち』（2024年）


これらの著作を通じて、片田氏は現代社会が抱える様々な心の病や人間関係の問題を深く掘り下げ、その解決策を提示しています。彼女の活動は、多くの人々に心の健康について考えるきっかけを与え、社会全体への貢献を果たしています。

外部リンク

片田珠美 (@tamamineko) - X（旧Twitter）
* 毎日新聞「経済プレミア」 - 片田珠美の略歴やキャリアに関するインタビュー記事が掲載されています。

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