特攻天女

『特攻天女』（とっこうてんにょ）は、みさき速による日本の漫画作品。
秋田書店の「週刊少年チャンピオン」にて1995年（平成7年）32号から2001年（平成13年）51号まで全277話が連載されました。
単行本は全30巻で、番外編として『悪鬼夜行』（全1巻）があります。

概要

主人公は、中学2年生の和泉祥（いずみしょう）。千葉最強を誇るレディース暴走族「夜桜会」の特攻隊長です。
美形男子に弱く、惚れっぽい性格の持ち主。
物語は、そんな祥が、関東圏の暴走族をまとめる「鬼面党」党首の高村大（たかむらだい）に一目惚れされることから始まります。

夜桜会や鬼面党のメンバーが織り成す物語は、単なる不良漫画の枠には収まりません。
登場人物たちは、何かを求め、止まらない悲劇と連鎖の中で、自分の命すら投げ出す狂気を抱えています。

物語全体を貫くのは、「不良は所詮不良であり、全うな生き方はできないし、誰かに尊敬されるなどはあり得ない」という冷めた視線です。
他の不良漫画によく見られる、「不良だが良い所もあり、実は多くの人に慕われている」あるいは「かつて不良だったが更生し、現在は良い関係を築きながら充実した日々を送っている」といった人物はほとんど登場しません。

各話のタイトルが歌のタイトルから取られているのも特徴です。
コミックスの表紙は、基本的に祥、アキラ、瑞希の順番で描かれています。

あらすじ

基本的には1話読み切り、または数話で完結するエピソードが多いですが、物語の中盤には「族狩り編」、後半には「月下仙女編」と呼ばれる長編エピソードが存在します。
これらの名称は便宜上のもので、公式なものではありません。

族狩り編

各地の暴走族メンバーが何者かに襲われ、重傷を負わされる事件が頻発します。
夜桜会や鬼面党も例外ではなく、茜や祥、アキラまでもが被害に遭います。

敵の首謀者は、当時祥が惚れ込んでいた甲斐弥（かいわたる）と思われましたが、真の黒幕は榊知彦（さかきともひこ）という大財閥の息子でした。
一連の事件は、退屈しのぎのゲームとして、榊が甲斐に命じて行わせていたものでした。
榊の言いなりに自分を攻撃し始めた甲斐への断ち切れない想いと、甲斐を殺さんばかりの手法を取る瑞希への対応に、祥は苦悩します。

月下仙女編

姫月ゆうこ（きづきゆうこ）との出会いを通じて、瑞希、高村、遊佐の過去の犯罪を知った祥は、彼らと決別します。
自分たちから祥を奪ったとして姫月を殺そうとする瑞希たちに対し、祥は姫月を守るためにユエや藤生らと行動を共にします。

祥を取り戻すことを諦め、敢えて自分を憎ませようとする瑞希。
祥に許してもらうため、途中から夜桜会と別行動を始める高村。
瑞希に従いながらもアキラを気遣い、独自の道を選択する遊佐。
逃げ道として用意した策のせいで、逆に窮地に追い込まれる姫月。
そして、ついに真相を知った祥が動き出します。

登場人物

夜桜会

和泉祥（いずみしょう）
本作の主人公。千葉最強のレディース「夜桜会」二代目特攻隊長。美形とプリンが好き。
天野瑞希（あまのみずき）
夜桜会の総長であり、天野財閥の令嬢。容姿端麗でケンカも強い。
森茜（もりあかね）
特攻隊長補佐。祥の一番の親友。
神崎留華（かんざきるか）
特攻隊長補佐。筋金入りのお嬢様で男嫌い。
迫水雪子（さこみずゆきこ）
副総長。駄菓子屋の孫娘で怪力の持ち主。

鬼面党

高村大（たかむらだい）
千葉最強の暴走族「鬼面党」の党首。祥に一目惚れする。
矢野アキラ（やのあきら）
本名は矢野晶。素性を隠して鬼面党に入った女性。空手の腕前は黒帯。
伊沢吉成（いざわよしなり）
鬼面党副党首。高村の親友で女子供に優しい。
遊佐明仁（ゆさあきひと）
鬼面党の特攻隊長。高村の幼馴染み。

その他の登場人物

黒川直紀（くろかわなおき）
暴力団「黒川組」の組長の息子。高村の異母兄。
田代勇樹（たしろゆうき）
高村が入院した病院に入院していた少年。祥と触れ合う内に惹かれていく。
甲斐弥（かいわたる）
族狩り事件に関わった少年。榊に過剰なまでの世話を焼いてきた。
榊知彦（さかきともひこ）
大財閥の息子で族狩り事件の首謀者。
天野光三郎（あまのこうざぶろう）
天野財閥総帥。瑞希の祖父。
南千里（みなみせんり）
代々天野家に仕える家系に生まれ、瑞希の専属ボディガードとして暗躍。
姫月ゆうこ（きづきゆうこ）
長い黒髪の清楚な美人。高村達によって輪姦されそうになった過去を持つ。
清宮正和（せいみやまさかず）
姫月の幼馴染みにして想い人。姫月を庇い自殺する。
清宮誠（せいみやまこと）
正和の弟。姫月を手伝って兄の復讐に出る。
ユエ
姫月とそっくりで同姓同名の従姉妹として登場。
藤生重慶（ふじおじゅうけい）
「鎧（ガイズ）」のトップ。ユエとの結婚式を挙げる。
山崎鴇彦（やまざき　ときひこ）
「鎧（ガイズ）」の親衛隊長。後に2代目トップ。
山岡奈々（やまおかなな）
夜桜会と敵対していた暴走族「紫美亜（しびあ）」の元トップ。
本郷廉太郎（ほんごうれんたろう）
代々天野家の主治医を務めている一族の息子で、腕のいい外科医。瑞希より14歳年上。
ナルン
東南アジア某国の難民の少女。天野財閥の宣伝材料として来日。

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