特許事務所

特許事務所とは

特許事務所は、弁理士が特許、実用新案、意匠、商標などの手続きを行うために設けられた事務所です。弁理士でない者が「弁理士」や類似の名称を使用することは法律により禁止されています。

概要

特許事務所は、主に弁理士個人の代理業務をサポートする機関ですが、平成12年の弁理士法改正により、条件を満たすことで「特許業務法人」として法人格を持つことが可能になりました。また、令和4年の改正では法人名が「弁理士法人」と改正されました。実際には、多くの事務所は独立した形で運営され、法人格を持たないまま営業しています。

事務所の構成

特許事務所を運営するには、少なくとも一人の弁理士が必要です。しかし、事務所の運営には事務職員や情報通信手段（電話、FAX、コンピューター）などが不可欠です。急な病気や不慮の事態に備えて、他の弁理士と提携することが一般的です。また、弁理士法に基づく懲戒処分は弁理士個人に対して行われるため、個人事務所の弁理士が処分を受けると業務が継続できなくなるリスクも伴います。

報酬について

かつては標準的な報酬額表が存在しましたが、現在はクライアントとの交渉により報酬が決まります。また、定期的な仕事を依頼する顧客と契約を結ぶ場合もあります。

所員の待遇

特許事務所での給与は実績重視で、年俸制を採用しているところも多いです。勤務時間は一般的に午前9時から午後5時までとされることが多いですが、在宅勤務やフレックスタイム制が導入されるケースも見られます。所員が受験勉強を重視するため残業を避けることが一般的であり、弁理士試験に合格することで事務所の地位も向上するため、所員の残業時間にも配慮がなされる傾向があります。

社会保険と休日

一部の個人事務所では、所員を社会保険に加入させないこともあるが、多くは社会保険完備です。休日は特許庁のカレンダーに従って設定されるため、「暦どおり」の休日が一般的です。

実力主義の環境

特許事務所の運営は実力主義が強く、実績が伴わない所員は簡単に解雇されることがあります。他の事務所への移籍も頻繁に行われるため、厳しい競争が展開されています。

所員の採用

特許事務所では主に即戦力を求める中途採用が多く、新卒採用も増加していますが、そもそも業界の性質上、教育コストがかかるため、限界があります。

事務所名の種類

特許事務所はさまざまな名称を用いますが、遵守すべき規則が存在し、法律上も特許に関連する業務が明確に示される必要があります。また、近年では「弁理士事務所」という名称を使用する事務所も増えています。

大手事務所の状況

東京都内には多くの弁理士が在籍する事務所が存在し、志賀国際特許事務所や創英国際特許法律事務所がその代表例となります。公開特許公報件数でも、都市部の事務所が優位を占めています。

弁理士法人の制度

弁理士法人は弁理士が法人形態で業務を行うためのもので、無限責任制が適用されます。法人名が「弁理士法人」に変更されたことにより、事務所運営の透明性が増すことが期待されています。相互の責任など運営の現状は、今後の課題として注目されています。

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