犬山祭

犬山祭（いぬやままつり）

犬山祭は、愛知県犬山市で毎年4月の第1週に開催される針綱神社の春季祭礼です。この祭礼は、国の重要無形民俗文化財に指定されており、地域の伝統文化が色濃く息づいています。祭りの運営は犬山祭保存会が行っており、地元住民や観光客が一体となって盛り上がります。

祭りの概要

犬山祭は通常、2日間にわたって実施され、1日目は「試楽（しんがく）」、2日目が「本楽（ほんがく）」と呼ばれています。城下町である犬山には、13の異なる町があり、それぞれから「車山（やま）」と呼ばれる山車が曳き出されます。試楽では、これらの車山が針綱神社へ向かい、奉納のためにからくりが披露されます。

さらに、車山は1年にちなんで365個の提灯に火を入れ、町内を巡る夜の部（夜車山）は特に幻想的な雰囲気を醸し出します。一方、本楽では神事が行われ、13町の車山が針綱神社に集まり、特別な儀式が行われます。また、曳き手たちが力を合わせて車山を持ち上げ、一瞬で半回転させる「どんでん」というパフォーマンスも見どころの一つです。

車山の構造

犬山祭の車山は、他の地域に見られる山車とは異なり、3層構造となっています。一般的には2層が多いですが、犬山では下層がお囃子を担当し、中層はからくりを動かす役割を持ち、最上層にはからくりが配置されています。このユニークな構造は「犬山型」として知られ、1964年には愛知県の有形民俗文化財に指定されています。さらに、犬山駅東口にはこの車山をモチーフにしたオブジェも設置されています。

各町の車山には、それぞれ独自の名称が付けられており、例えば、枝町の「遊漁神」や魚屋町の「眞先」など、伝承や文化が反映されています。

起源と歴史

犬山祭の起源は、1635年にさかのぼります。この年、針綱神社の祭礼に対して、下本町や魚屋町からの練り物が出され、1641年には「車山」が初めてお披露目されました。さらに、犬山城主成瀬正虎の奨励により、他の町も参加するようになりました。

以前は、犬山祭は旧暦の8月に開催されていましたが、1898年に新暦の4月に変更され、近年まで続いています。また、1996年からは犬山お城まつりも開催され、この祭りも犬山祭との相乗効果を生んでいます。

どんでん館と遠征

犬山には「どんでん館」という施設があり、常設展示として4輌の車山が展示されています。ここでは祭り以外の日でも近くで車山を見ることができ、犬山祭の雰囲気を楽しめるスポットです。

また、犬山市は友好姉妹都市である富山県立山町で1987年に行われた立山まつりに車山を持ち込み、初めて外部で披露しました。これにより、犬山祭の知名度も高まりました。

まとめ

犬山祭は、地域の文化や伝統を体現した重要な祭りであり、地元の人々にとっても特別な意味を持つ行事です。春の訪れを告げるこの祭りは、観光客にも魅力的な体験を提供し、犬山市の文化的アイデンティティを形作っています。

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