環境マネジメントシステム

環境マネジメントシステム（EMS）とは

環境マネジメントシステム（Environmental Management System: EMS）は、企業や団体などの組織が、環境に関する方針、目標を設定し、その達成に向けて組織全体で取り組むための計画、体制、プロセスを指します。これは、組織が事業活動を行う上で、環境への負荷を低減し、持続可能な社会の実現に貢献するための重要な枠組みとなります。

組織は、自らの事業内容や規模に応じて、独自のEMSを構築・運用することが可能です。しかし、外部機関が定めた規格に準拠したシステムを導入し、第三者機関からの審査・認証を受けることで、より効果的なシステム運用を実現し、社会からの信頼を得ることができます。

EMSの規格

環境マネジメントシステムには、さまざまな規格が存在します。代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。

ISO 14001:2015 (ISO 14000シリーズ)：
国際標準化機構（ISO）が発行する、環境マネジメントシステムの国際規格です。世界中で広く採用されており、認証取得組織が増加しています。

JIS Q 14001:
ISO 14001を基に、日本国内の規格として制定された日本産業規格（JIS）です。ISO 14001と同様の要求事項が定められています。

Eco-Management and Audit Scheme (EMAS)：
欧州連合（EU）が制定した、環境管理監査制度です。EU加盟国を中心に、環境パフォーマンスの継続的な改善を目的とした取り組みが推進されています。


これらの規格は、組織が環境への影響を管理し、改善するための枠組みを提供します。規格に沿ったシステムを構築し、運用することで、環境負荷の低減、資源の効率的な利用、法令遵守などを実現することができます。

環境マネジメントシステムを導入するメリット

EMSを導入することで、組織は以下のようなメリットを得ることができます。

環境負荷の低減：
エネルギー消費量や廃棄物排出量の削減など、環境負荷を低減するための具体的な取り組みを組織全体で推進できます。

コスト削減：
資源の効率的な利用や省エネルギー化などにより、運用コストを削減できます。

リスク管理の強化：
環境に関する法規制への対応や、環境事故のリスク低減を通じて、組織の事業継続性を高めることができます。

企業イメージの向上：
環境問題に対する積極的な姿勢を示すことで、顧客や社会からの信頼を得ることができ、企業価値の向上につながります。

従業員の意識向上：
環境への意識を高め、従業員が主体的に環境保全活動に取り組むようになります。

中小企業向けの環境マネジメントシステム

ISO 14001などの規格は、導入・運用に一定のコストや手間がかかるため、中小企業にとっては導入のハードルが高い場合があります。そのため、中小企業向けに、より簡易で負担の少ない環境マネジメントシステム規格もいくつか制定されています。

これらの規格は、中小企業が無理なく環境マネジメントに取り組めるよう、要求事項を簡略化したり、導入支援を行ったりするなどの工夫がされています。

その他の環境マネジメントシステム関連情報

上記以外にも、様々な環境マネジメントシステムに関連する情報や取り組みがあります。例えば、以下のようなものがあります。

内部監査：EMSの運用状況を定期的に確認し、改善点を見つけるための仕組みです。
エコステージ：
環境負荷の低減や持続可能な社会の実現に貢献するための認証制度です。
エコアクション21：
環境省が策定した、中小企業向けの環境マネジメントシステムです。
KES・環境マネジメントシステム・スタンダード：
京都の企業が中心となって開発した、環境マネジメントシステム規格です。
みちのく環境管理規格認証機構事務局：
東北地方の企業を対象とした環境マネジメントシステム認証機関です。
彩の国エコアップ宣言：
埼玉県が推進する、企業の環境保全活動を促進するための取り組みです。
環境自治体スタンダード（LAS-E）：
自治体向けの環境マネジメントシステムです。
BSIグループジャパン株式会社：
英国規格協会（BSI）の日本法人であり、ISO規格の認証サービスを提供しています。
三重県版環境マネジメントシステム・スタンダード：
三重県が独自に制定した、環境マネジメントシステム規格です。
グリーン経営認証：
運輸事業者向けの環境マネジメントシステム認証制度です。

これらの情報や取り組みは、各組織が自社の状況に合わせて環境マネジメントシステムを構築・運用する上で役立ちます。組織は、自らの事業活動が環境に与える影響を認識し、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいく必要があります。

環境マネジメントシステムは、環境負荷の低減だけでなく、組織の持続可能性を高めるための重要なツールとなります。組織は、これらのシステムを効果的に活用し、環境問題の解決に向けて積極的に貢献することが求められます。

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