畝美与吉

畝美与吉七段：長く将棋界を支えた棋士の生涯

畝美与吉（うね みよきち）は、1900年11月15日、広島県呉市に生まれました。1971年9月7日没。将棋界において七段の位を極めた棋士です。その棋士人生は、激動の時代を反映するかのように、浮き沈みの激しいものでした。

神田辰之助門下からプロ棋士へ

畝美与吉は1931年、後に九段となる神田辰之助に入門。師事した神田辰之助は、当時すでに将棋界で高い名声を得ていた棋士でした。その厳しい指導のもと、研鑽を積んだ畝美与吉は、翌1932年に四段に昇段。プロ棋士としての道を歩み始めます。その後も着実に昇段を重ね、1936年には五段、1948年には順位戦C級上位の成績により六段に昇段しました。

戦後将棋界と順位戦での活躍

第二次世界大戦後の混乱期、戦災の影響を受けながらも将棋界に復帰。1947年の第2期順位戦からC級に参加します。順位戦は、当時、プロ棋士の実力序列を決める重要な棋戦でした。ここで、畝美与吉は、数々の強豪棋士と対戦することになります。

特に注目すべきは、1954年の第9期順位戦での出来事です。当時、まだ14歳という若さで頭角を現し始めた加藤一二三と対戦。この対局は、後に伝説として語り継がれることになります。若き天才・加藤一二三と、ベテラン棋士である畝美与吉の対決は、将棋ファンにとって大きな話題となりました。結果は、残念ながら畝美与吉の敗退となりましたが、この対局は、両者の実力差を超えた、時代の流れを感じさせるものだったと言えるでしょう。ちなみに、加藤一二三は、公式戦で19世紀生まれの棋士と対局した数少ない経験者の一人であり、その中には畝美与吉の他に村上真一、野村慶虎がいます。

引退と晩年

1956年の第11期順位戦でC級2組から降級。翌1957年には、56歳という年齢で、現在の三段リーグに相当する予備クラスで対局することとなります。しかし、この予備クラスでも1勝11敗と大きく負け越し、1957年前期をもって引退を決断しました。

引退後も将棋界への貢献は続き、1968年には表彰感謝の日表彰により七段に昇段。長年の功績が認められました。

まとめ

畝美与吉は、激動の時代を生き抜き、将棋界で長く活躍した棋士でした。若き加藤一二三との対戦は、彼の棋士人生における象徴的な出来事と言えるでしょう。戦後の混乱期においても将棋界に貢献し続けた彼の生涯は、後世の棋士たちにとって、学ぶべき点の多い貴重な歴史として記憶されています。その功績は、将棋界に大きな足跡を残したと言えるでしょう。彼の棋風や人となりについては、残念ながら詳細な記録は残されていませんが、数々の対局記録から、その実力と精神性を垣間見ることができます。

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