略奪

略奪（りゃくだつ）

略奪は、戦争や自然災害、政治的混乱の際に、法や秩序が崩壊した状況において行われる財産の強奪を指します。日本語では本来「掠奪（りょうだつ）」という表記も存在しましたが、現代では「略奪」が一般的となっています。国際[[法]]においては、戦時中の略奪行為は明確に禁じられており、これを行った者は戦争犯罪として厳罰にされる可能性があります。

略奪の歴史的背景

歴史的に見ると、勝利した軍隊による略奪は常態化していました。古代ローマでは、凱旋式という儀式が略奪の成果を祝う形で行われ、チンギス・ハンなどの指導者は敵からの財産搾取を自身の栄光と見なしました。また、中国の古代戦略家、孫子も、敵国からの略奪を兵糧調達の手段として推奨していました。中世においては、降伏した都市が抵抗した場合、その結果として略奪されることが一般的でした。

略奪の対象は、財産だけでなく人間そのものも多く、戦争捕虜や女性は奴隷として売り飛ばされることが一般的でした。特に、高価で持ち運びが容易な貴金属は、金や銀として容易に資金化できたため、敵国から多く略奪されました。18世紀以降には、芸術品も略奪の対象とされ、特に第二次世界大戦中には、ナチス・ドイツが組織的に美術品を奪い取る行為が行われました。

戦場における規律が緩んだ軍隊では、略奪が横行しやすく、兵士たちはその影響で機動力を失い、場合によっては軍全体の破滅に至ることもあります。逆に、略奪が戦略的に成功を収めた例も存在しますが、これは例外的なケースです。

政治と略奪

略奪は戦争時のみならず、特定の政治条件下でも発生します。例えば、第一次コートジボワール内戦では、政府がフランスに関連する施設を襲撃するよう扇動しました。このように、戦争や政治的混乱を背景にした略奪行為は、しばしば組織立って行われます。

国際[[法]]による禁止

国際[[法]]では、略奪は厳格に禁止されています。歴史的には、南北[[戦争]]時のリーバー法や、ハーグ陸戦[[条約]]など、数多くの条約によってその行為が取り締まられてきました。1949年のジュネーヴ第4条約でも、戦争中に文民に対する略奪が違法であることが明確にされています。近年でも、旧ユーゴスラビア国際戦犯[[法廷]]では、いくつかの略奪行為が戦争犯罪として立件されました。

考古学調査と略奪

考古学の文脈で使われる「略奪」という言葉は、発掘された文化財が原位置から持ち去られる行為にも当てはまります。特にエジプトの遺物が多くの西洋の博物館に展示されている事例は、しばしば略奪として問題視されます。このような行為に対し、最近では返還の動きも見られます。

非軍人による略奪

略奪は軍人だけに限らず、災害時の混乱によって一般市民によっても行われることがあります。南北[[戦争]]中のニューヨークでの暴動や、2005年のハリケーン・カトリーナによる略奪はその典型です。これらのケースでは、平常時とは異なる動機での略奪が発生し、その背後には多くの社会的要因が潜んでいます。

結論

このように、略奪は歴史的、社会的、政治的な背景に根差した複雑な現象です。現代では国際[[法]]により制約されていますが、依然として様々な形で発生しうるこの問題は、今後も注視されるべきです。

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