直葬

直葬（ちょくそう/じきそう）についての詳細

直葬とは、遺体を通夜や葬儀を行うことなく、直接火葬場に運び火葬する葬送のスタイルを指します。この方法では、病院や自宅から遺体を搬送し、最低限の手続きを行った後、火葬を行います。遺体の搬送、納棺、安置、死亡診断書や火葬埋葬許可書の取得が必要ですが、実際に火葬を行う際には亡くなってから最低でも24時間を待たなければなりません。

直葬という名称は、「直接火葬」の略称であると言われています。この葬送のスタイルは、葬祭業者や宗教団体の関与が少ないため、通常の葬儀に比べてコストが抑えられる傾向にあります。特に、20世紀の日本では身寄りのない方が亡くなった際に利用されることがありましたが、2005年頃から新たな社会の変化とともに、広く選択されるようになりました。

この背景には、退職後の生活期間が長くなり、仕事を通じた人間関係が減少したり、子供のいない家庭や非婚世帯の増加など、家族形態の変化があります。その結果、物故者に親族がいたとしても、なかなか密接な関係がないことが多くなりました。近年は直葬を選ぶ事例が増加しており、本人の希望に基づいて直葬が行われる場合も少なくありません。

例えば、葬祭アカデミーの代表である二村祐輔氏は、2009年の調査において都市部では直葬が行われる割合が2～3割に達していると述べています。この傾向は、今後ますます増えることが予想されます。しかしながら、直葬の形式には一つの懸念があります。それは、通夜や葬儀を省略することにより、遺族が物故者との別れを十分に行えず、心の整理が難しい場合があるという点です。

直葬を選択する際には、このようなメリットとデメリットをよく考慮しなければなりません。遺族自身が心の整理を行うためには、例えば別の形での追悼の時間を設けるなどの工夫が必要です。

これからの時代の葬送スタイルとして、直葬は確かに重要な役割を果たすかもしれませんが、残された者たちが穏やかに故人を偲ぶ時間も忘れてはならないのではないでしょうか。

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