矢田俊隆

矢田俊隆について

矢田俊隆（やだ としたか、1915年7月23日 - 2000年7月14日）は、日本の歴史学者及び政治学者であり、特に中欧史の研究で知られる北海道大学の名誉教授です。彼の研究はオーストリアやスイス、ドイツといった地域に焦点を当てており、ハプスブルク帝国の歴史に関する深い洞察を提供しました。

生い立ちと学歴

矢田は1915年、三重県桑名市に生まれました。1938年に名古屋市の旧制第八高等学校を卒業し、そのまま東京帝国大学文学部に入学しました。大学では西洋史を専攻し、卒業後は大学院へと進学します。1940年には大学院を修了し、同大学の副手に就任しました。

その後、日本大学や東京女子大学で講師職を経て、1949年には成蹊大学の政治経済学部教授に就任。1950年には北海道大学法経学部教授となり、1953年の学部改組により法学部の教授職となりました。彼はまた、スラブ研究センターの研究員としても活動し、1962年には『中欧における自由と民族の問題』を提出して法学博士の学位を取得しました。1979年には北海道大学を退官し名誉教授となり、成城大学法学部教授に転任しました。1986年に成城大学を定年退職しました。

研究内容と影響

矢田の研究対象は広範囲にわたり、政治史学と歴史学の枠を横断しています。特に、彼は中欧における自由と民族問題に焦点を当て、その成果を数多くの著作として残しました。彼の著作の中には『新稿世界史 ヨーロッパアメリカ篇』や『ハプスブルク帝国史研究 中欧多民族国家の解体過程』などがあり、これらは彼の専門領域である中欧の歴史に対する鋭い分析を提供しています。

また、研究を通じて多くの門下生を育成し、彼の指導を受けた学生たちに山本佐門や吉川宏などがいます。彼の研究スタイルは体系的でありながら、文献に基づく詳細な分析を重視していました。

受賞歴および蔵書の寄贈

長年の研究活動が評価され、矢田は1988年に勲二等瑞宝章を受賞しました。その後、成城大学の定年退職後にも北海道大学附属図書館に自身の蔵書を寄贈し、その学問への貢献を継続して行いました。

主な著作

矢田の著作は多岐にわたりますが、以下にその一部を挙げます：

• - 『新稿世界史 ヨーロッパアメリカ篇』 (1951年)
• - 『近代中欧の自由と民族』 (1966年)
• - 『ハプスブルク帝国史研究 中欧多民族国家の解体過程』 (1977年)
• - 『オーストリア現代史の教訓』（1995年）

また、彼はフリードリッヒ・マイネッケの著作を日本語に翻訳するなど、翻訳活動も行いました。

まとめ

矢田俊隆は日本における中欧史の研究の先駆者であり、彼の業績は今なお高い評価を受けています。学問の枠を超えた彼の貢献は、後世にわたってその影響を与え続けることでしょう。

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