神奈川県内広域水道企業団

神奈川県内広域水道企業団とは

神奈川県内広域水道企業団（かながわけんないこういきすいどうきぎょうだん）は、神奈川県と、県内の主要な都市である横浜市、川崎市、横須賀市へ、日々の暮らしを支える水道用水を広域的に供給している組織です。これは、地方公共団体が共同で設置・運営する「一部事務組合」という形態をとっており、組織の運営には地方公営企業法が適用されています。

設立の経緯と目的

この企業団が設立された背景には、高度経済成長期における神奈川県、特に東部地域の急速な発展とそれに伴う人口の激増があります。これにより、かつてない規模で水需要が急増し、各自治体単独での対応が困難となりました。こうした状況を踏まえ、広域的な視点での安定した水道用水供給体制を確立するため、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市の1県3市を構成団体として、1969年（昭和44年）5月1日に設立されました。その主な目的は、増大する水需要に安定的に応え、将来にわたって県民に安全な水道水を供給することにあります。

構成団体と供給先

当企業団の構成団体は設立時の1県3市であり、これらの自治体に対して水道用水を供給しています。具体的には、以下の水道事業体を経由して各家庭や事業所に水が届けられます。

神奈川県（神奈川県営水道）
横浜市（横浜市水道局）
川崎市（川崎市上下水道局）
横須賀市（横須賀市上下水道局）

主要な事業所・施設

安全で安定した水道用水を供給するため、当企業団は県内に複数の主要施設を設置・管理しています。これらの施設は、水源からの取水、水の浄化、そして各自治体への送水という一連の過程を担っています。

本庁舎（水運用センター）: 組織の中枢であり、水道システム全体の運用管理や災害時の対応などを統括しています。
飯泉取水堰（飯泉取水管理事務所）: 酒匂川から水道用水の原水を取り入れるための施設です。
相模大堰（社家取水管理事務所・水質管理センター）: 相模川から水道用水の原水を取り入れるための施設で、水質管理センターも併設されています。
浄水場: 取り入れた原水を飲用に適した水に浄化する施設です。主要な浄水場として以下のものがあります。
伊勢原浄水場
相模原浄水場
西長沢浄水場
綾瀬浄水場
寒川浄水場
相模川水路橋: 相模川を横断し、浄水場から供給先へと浄水を送るための重要な送水施設です。

これらの施設が連携することで、広範囲にわたる地域への安定した水道用水供給が実現されています。

歴代企業長

当企業団の運営責任者として、設立以来、多くの企業長が組織を率いてきました。主な歴代企業長は以下の通りです。（括弧内は在任期間）

伊藤文保 (2003-2007)
尾高暉重 (2007-2010)
羽田愼司 (2010-2013)
古尾谷光男 (2013-2016)
吉川伸治 (2016-2019)
黒川雅夫 (2019-2022)
* 浅羽義里 (2022-)

神奈川県内広域水道企業団は、県内の多くの住民の生活を支える基盤となる水道用水供給事業を、広域的な連携と効率的な施設運用により、今後も継続的に担っていく重要な組織です。

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