神戸高速線

神戸高速線：複雑な歴史と独自の運行形態を持つ路線

神戸高速線は、神戸市中心部を走る複数の鉄道路線が総称です。阪神電気鉄道、阪急電鉄、神戸電鉄の3社が、神戸高速鉄道が所有する路線施設を利用して列車を運行しています。一見シンプルに見えますが、その歴史と運営形態は非常に複雑です。

設立と運営形態

神戸高速鉄道は1968年に開業しましたが、当初から車両や乗務員を保有せず、路線施設の整備と運行管理に特化しました。阪神、阪急、山陽電気鉄道、神戸電鉄の4社が自社の車両と乗務員で列車を運行するという、特異な形態を取っていたのです。

1987年の鉄道事業法改正により、鉄道事業者は第一種（施設・運行両方）、第二種（運行のみ）、第三種（施設のみ）の3種に分類されました。神戸高速鉄道は第一種事業者を目指しましたが、車両と乗務員を他社から借りていることを理由に認められず、既存の形態を維持することになりました。

そこで、神戸高速鉄道は第三種事業者として施設を保有し、4社は第二種事業者として運行を行うという、現在の運営体制が確立されました。各社は「神戸高速線」という路線名を使用し、運賃体系も共通化されました。運賃収入は、各社の運賃相当額を委託料として神戸高速鉄道が受け取る形となっています。

2010年には、山陽電鉄が神戸高速線の運行から撤退し、阪急電鉄も一部区間を廃止しました。現在では阪神、阪急、神戸電鉄の3社が、神戸高速鉄道の施設を利用して運行しています。駅名標のデザインなども、各社のデザインが混在するなど、その歴史的経緯を反映した状況となっています。

運賃体系と割引制度

神戸高速線は、阪神・阪急・神戸電鉄各社の路線とは独立した「神戸高速」という独自の運賃体系を採用しています。1～3kmを1区、4～6kmを2区として運賃が設定されています。他路線との連絡運賃は、接続駅を境に各社の運賃を合算する形です。

また、他路線との乗継割引や連絡割引制度も存在します。阪神本線、阪急神戸本線、山陽電鉄本線、神戸電鉄有馬線との間で、運賃を10円または20円割引する制度が設けられています。これらの割引額は、開業当初からほとんど変更されていません。

さらに、阪神なんば線方面への連絡乗車券も発券可能です。ただし、近鉄線への連絡乗車券は発券されず、大阪難波駅で精算する必要があります。

定期券の相互利用

阪急電鉄と阪神電気鉄道では、定期券の相互利用サービスが提供されています。神戸高速線を含む区間を有効区間とする定期券であれば、阪神・阪急両社の神戸三宮駅～高速神戸駅間を相互利用できます。ただし、IC通学定期券は対象外です。

まとめ

神戸高速線は、複数の鉄道会社が複雑に連携して運行している、ユニークな路線です。その歴史的経緯から生まれた独自の運賃体系や割引制度、他社線との接続方法などは、鉄道ファンにとっても興味深いものです。今後も、その運行形態や利用状況の変化に注目していく必要があるでしょう。

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