私が愛したウルトラセブン

『私が愛したウルトラセブン』

『私が愛したウルトラセブン』は、1993年2月13日と20日の2回にわたって放送されたNHKの「土曜ドラマ」。特撮番組『ウルトラセブン』に参加した脚本家・市川森一が、当時のヒロイン・友里アンヌを主役に据え、撮影の裏側や参加者たちの青春を描いています。この作品では、事実をもとにしたフィクションが混ぜ合わさり、当時のドラマ制作の様子を生き生きと伝えています。

ストーリーの概要

第1部「夢で逢った人々」

物語は、体育大学に通うひし美ゆり子が『ウルトラセブン』の撮影現場でヒロイン、友里アンヌ役に起用されるところから始まります。元々予定されていた女優が交通事故に遭い、急遽代役が必要になったのです。ひし美は、演じ手としての道を模索しつつ、自分が脚本家として直面する苦悩に気づいていきます。

同時に、モロボシ・ダン役の森次晃嗣は、恋人との関係が揺らぐ中で、自分の夢を追う決意を固めます。また、事故死した脚本家の原稿を引き継ぐべく、上原正三や新人ライターの石川新一との間で緊迫したコンペが進行していました。上原は以前に提出したプロットをリライトしようとしますが、内容が否定されたり、修正を求められたりと苦しい立場に置かれます。

第2部「夢見る力」

撮影が進む中で、金城は自身の沖縄出身の素性を隠しながら、『ウルトラセブン』の物語を書いていました。彼は自分のルーツを辿りつつ、最終話の脚本に苦しむことになります。その間、ゆり子は森次の元恋人から頼まれて、アメリカの脱走兵をかくまう計画を立てます。周囲の協力を得ながら、危険な状況に立ち向かっていく彼らの姿が印象的です。

最終的に、金城は自らのアイデンティティを受け入れ、最終話を無事に仕上げます。その後、彼は日本を去ることを決意。一方、森次たちは脱走兵マイケルを助けるための計画を完遂し、最終話の撮影が無事終了するまでの奮闘が描かれています。セブンが故郷を訪れる感動的なラストシーンは、この作品のテーマを象徴するものであり、多くの視聴者の心に残るものでした。

主なキャスト

• - 友里アンヌ（菱見百合子）：田村英里子
• - モロボシ・ダン（森次浩司）：松村雄基
• - 冬木直子：日向薫
• - 上原正三：仲村トオル
• - 石川新一（市川森一）：香川照之
• - 金城哲夫：佐野史郎

製作背景と影響

このドラマでは、実際の制作現場で起こった出来事や人間関係がリアルに描かれています。特に、製作スタッフ全員が一丸となって作品を創り上げていく様子には感動的な要素が詰まっています。また、多くのキャストがその後の特撮作品にも関わり続けており、ウルトラシリーズの発展にも寄与しています。

『私が愛したウルトラセブン』は、放送後も2011年に市川森一への追悼放送が行われるなど、歴史的な作品として位置づけられています。作品が持つメッセージや当時の雰囲気、そして特撮文化に与えた影響は、今なお語り継がれ、愛され続けています。

もう一度検索