稲庭うどん

稲庭うどん

稲庭うどんは、秋田県湯沢市稲庭町で生まれた伝統的な手延べ製法の干しうどんです。その名は、発祥の地である稲庭町に由来します。一説には、讃岐うどん、五島うどんと並び、日本三大うどんの一つに数えられています。また、同じ製法で作られる「稲庭そうめん」も存在します。

概要

稲庭うどんは、ほんのりと黄色みを帯びた色合いが特徴です。太さは冷麦よりやや太めで、断面は平たい形状をしています。製法は一般的なうどんとは異なり、むしろそうめんに近いのが特徴です。打ち粉にはデンプンを使用し、麺をひねりながら練ることで、内部に気泡を作り出します。この気泡が、稲庭うどんならではの滑らかな食感を生み出す秘密です。

一般的に流通しているのは乾麺ですが、地元や県外のアンテナショップなどでは、半生麺も手に入れることができます。乾麺は長期保存が可能で、贈答品としても人気があります。

歴史

「稲庭古今事蹟誌」によると、稲庭うどんの起源は寛文年間以前に遡ります。久保田藩（秋田藩）領の雄勝郡稲庭村小沢集落（現在の秋田県湯沢市稲庭町字小沢）に住んでいた佐藤市兵衛という人物が、その製法を始めたと伝えられています。その美味しさは藩主の贈答品として用いられたり、紀行家・菅江真澄が著書で絶賛するなど、古くから名品として知られていました。

1972年（昭和47年）になると、それまで稲庭家（佐藤家）の秘伝とされていた製法が公開されました。これにより製造量が飛躍的に増加し、一般の人々が稲庭うどんを口にする機会が増え、その知名度も向上しました。1976年（昭和51年）には稲庭うどん協議会、2001年（平成13年）には秋田県稲庭うどん協同組合が発足し、稲庭うどんの普及と食文化の発展を目指した活動が積極的に行われています。

その地域に根ざした食文化が評価され、2007年（平成19年）には農林水産省によって「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれました。さらに2016年（平成28年）には、湯沢市によって「ふるさと名物」に選定されています。

脚注

秋田県稲庭うどん協同組合

関連項目

うどん
* 稲庭町

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