空中投下

空中投下（くうちゅうとうか, Airdrop）

空中投下とは、飛行中の航空機から物資を直接投下する輸送手段の一つです。特に自衛隊では、これを人員の降下と物品の投下という2つのカテゴリーに分けています。空中投下は、さまざまな状況において重要な役割を果たしており、特に緊急支援や軍事作戦においてその有効性が示されています。

物料投下の歴史と方法

第二次世界大戦中、空中投下が戦場で活用される際、当時の輸送機は比較的小さな物資しか運べない設計でした。そのため、重装備が必要な場合は、軍用グライダーの使用や強行着陸が必要でした。しかし、大戦後間もなく、アメリカ空軍は1948年に大型パラシュートやプラットフォームを用いた重物料投下を実現しました。これにより、より多種多様な物資が空中から安全に地上に届けられるようになりました。

投下方式

物料投下の方法は、主に2つの方式に分かれます：コンテナ投下方式（CDS）とプラットホーム投下方式（PDS）です。

1. コンテナ投下方式（CDS）
この方式では、弾薬や燃料、食糧などの補給物資が特別な容器に収められ、航空機から投下されます。通常、直径19メートルのパラシュートを使用し、重力により容器を滑り落とす「重力投下法」が採用されています。C-1輸送機では最大8個、C-130Hでは最大16個の容器を投下可能です。

2. プラットホーム投下方式（PDS）
この方式では、車両や火砲がアルミニウム製プラットフォームに固定されて投下されます。投下時にはまず抽出傘を放出し、その後に物料傘を開傘して降下させる方法が取られます。C-1では最大8トン、C-130Hでは約19トンまで運ぶ能力があります。

技術の進化

近年、空中投下の精度を高めるために、アメリカ軍はGPS誘導を導入した統合空中精密投下システム（JPADS）を開発しました。これにより、より高高度から正確に物資を投下することが可能となり、安全性も向上しました。一方で、低コスト・低高度での投下（LCLA）も利用され、手動での小型物資の投入が行われています。心理戦用のビラや人道支援物資に関しては、パラシュートを使用しない自由投下（Freedrop）が採用されています。

非軍事的な空中投下

日本国内では、航空法により、事前に国土交通大臣に届出を行うことで合法的に空中投下が可能です。例えば、全国高等学校野球選手権大会では、始球式のボールが航空機から球場に投下される伝統があります。また、国連世界食糧計画は、干ばつに苦しむ国々に対し支援物資を空中投下しています。

2023年には、ガザ地区でアメリカ軍による人道支援物資の空中投下が行われ、様々な課題も報告されています。このように、空中投下は軍事、そして人道支援において、重要な役割を果たしているといえるでしょう。

もう一度検索