紫外線

紫外線（しがいせん）

紫外線は、波長が10〜400ナノメートルの範囲を持つ不可視光線で、その名称は可視光の紫色の外側に位置することに由来します。英語の「ultraviolet」（紫を超えた）から「UV」と略称されることもあります。1960年代以前は「菫外線（きんがいせん）」とも呼ばれていました。

概要

紫外線は、熱的な効果をもたらす赤外線とは異なり、主に化学的な反応に寄与します。このため、化学線とも称され、殺菌、ビタミンDの生成、血行や新陳代謝の促進など、人体に多くの有益な作用を持っています。

紫外線は波長によって分類され、380〜200ナノメートルの近紫外線（UVA、UVB、UVC）、200〜10ナノメートルの遠紫外線や真空紫外線（VUV）、10〜121ナノメートルの極端紫外線（EUV）に分かれます。特に、UVAは地球の表面に届く紫外線の約99%を占めます。UVCは大気中でほぼ完全に吸収され、通常は地表に到達しませんが、人工的に発生する場合は注意が必要です。

紫外線の健康への影響

紫外線は、長期間さらされることで皮膚や眼、免疫系に影響を及ぼす可能性があります。特にUVCは高エネルギーであり、強い危険性を伴います。人間の皮膚は紫外線の影響を受けて、日焼けや皮膚がんのリスクを高めることが知られています。UVAは皮膚の深層にまで浸透し、弾性繊維にダメージを与え、皮膚の老化を促進することがあります。一方で、UVBは表皮層に作用し、メラニン生成を促進することで防御反応を引き起こします。

皮膚が紫外線にさらされると、ダメージを軽減するためにメラニンが分泌され、これが日焼けとして認識されます。日焼け止め製品も紫外線の進入を防ぐために利用されており、SPF値やPA値で紫外線防御効果を示しています。

紫外線の利点

紫外線は皮膚においてビタミンDの生成に寄与します。ビタミンDは、骨の健康に重要であり、その欠乏は様々な健康問題を引き起こす可能性があります。また、乾癬や白斑などの皮膚疾患の治療にも利用されています。

利用

紫外線は、さまざまな分野で利用されており、例えば、ブラックライトは偽造防止印刷に使用されています。紫外線を利用した害虫駆除装置もあり、紫外線に引き寄せられた昆虫が感電死する仕組みです。さらに、食品加工や水道水の殺菌など、紫外線の持つ殺菌効果を利用した方法も広がっています。

紫外線の環境への影響

1970年代以降、オゾン層の減少により、紫外線量が増加しています。特に南極上空ではオゾンホールが発生し、南半球の紫外線量が大幅に増加しました。この問題に対し、WHOはUVインデックスを導入し、市民への注意喚起が行われています。

以上のように、紫外線は我々の健康や環境に多くの影響を及ぼす重要な光線です。理解を深め、その影響から身を守ることが求められています。

もう一度検索