絶歌

『絶歌 神戸連続児童殺傷事件』とは

1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件。その加害者である男性が「元少年A」として、事件の経緯と犯行後の社会復帰への道のりを綴った手記が『絶歌』です。2015年6月に太田出版から出版され、初版は10万部という異例の部数を記録しました。

刊行の経緯

当初、この企画は幻冬舎の見城徹氏に持ち込まれました。見城氏は編集チームを編成し、元少年Aと面会を重ねましたが、贖罪意識の欠如から原稿を没にし、書き直しを指示。最終的に、見城氏は太田出版を紹介し、同社から出版されることになりました。

太田出版では、『完全自殺マニュアル』を手掛けた落合美砂氏が担当となりました。落合氏は直接的な修正は行わず、元少年A自身が修正を担当。『絶歌』というタイトルや本文の見出しも彼自身によるものです。出版に際しては、情報漏洩を防ぐため、取次にもタイトル以外は伏せられました。

出版後の反響

本書の出版は、遺族への事前連絡がなかったことから、大きな波紋を呼びました。遺族からは批判の声が上がり、出版の是非や内容を巡って賛否両論が巻き起こりました。書店では取り扱いを中止する動きも見られ、図書館でも貸出制限を行うなど、対応が分かれました。

日本図書館協会は、本書について取り扱いを制限すべきではないとの見解を示しましたが、図書館によって判断が異なりました。兵庫県立[[図書館]]や神戸市立図書館など、地元の図書館では貸出制限や購入見送りの措置が取られました。

本書の構成

『絶歌』は、第一部と第二部で構成されています。

第一部：事件に至るまでの少年期の体験や心情が、装飾過多な文体で綴られています。
第二部：出所後の生活や心情が、平易な文章で描写されています。

識者の反応

本書に対しては、様々な分野の識者から意見が寄せられました。

擁護派：少年犯罪を理解するための貴重な資料である、体験や心情は貴重なサンプルである
批判派：遺族への配慮が欠けている、出版は不適切である

まとめ

『絶歌』は、神戸連続児童殺傷事件の加害者の手記として、出版前から大きな注目を集めました。出版後には、その内容や出版の是非を巡って賛否両論が巻き起こり、社会的な議論を呼びました。本書は、少年犯罪や更生、被害者遺族の心情など、様々な問題を提起する作品として、今もなお議論の対象となっています。

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