若宮正子

若宮 正子とは

若宮正子（わかみやまさこ）は、日本のITエヴァンジェリストとして活躍する著名な人物です。1935年に東京・杉並区で生まれ、数奇な運命を乗り越えて81歳でiPhoneアプリ「hinadan」を開発した世界最高齢のプログラマーとして知られています。ハンドルネームの「マーチャン」としても広く認識されています。

経歴と個人

若宮さんは三人兄弟の末っ子として育ちました。幼少期は、太平洋戦争勃発後の学校で学び、戦争の影響で学童疎開を通じて長野県での生活を経験しました。この頃から旅行に興味を持ち、後に海外旅行に毎年出かけるセンスを磨くことになります。また、英検準1級を取得するなど、人生を通して学び続ける姿勢を貫きました。

東京教育大学附属高等学校を卒業後、三菱銀行に入行。そこでの業務を通じて、自らの実力を磨き、男女雇用機会均等法の施行後には女性管理職として活躍します。銀行を定年退職した後は、母親の介護をしながら新しい趣味としてパソコンに親しみ、これが後のITキャリアへの足がかりとなりました。

IT業界への転機

パソコンを購入した後すぐに「メロウ倶楽部」に参加し、友人を作るための活動を始めました。彼女はMicrosoft Excelを利用して独自の「エクセルアート」を考案し、これがマイクロソフトから新たな使用法として評価されました。さらには、2014年に「TEDxTokyo」に登壇し、英語でスピーチを行ったことも注目されます。

アプリ開発と社会活動

60歳を過ぎてから、若宮さんはスマートフォンアプリの開発に関心を持ち始めました。特に高齢者向けのゲームアプリに不足を感じ、2016年にアプリ制作に取り組みます。その結果、81歳にして開発した「hinadan」はApp Storeで配信され、彼女はAppleのWorldwide Developers Conference 2017で「世界最高齢のアプリ開発者」として紹介されました。

また、2018年の国連総会では基調講演を行い、高齢化社会におけるデジタル技術の重要性を訴えました。彼女は内閣府の「人生100年時代構想会議」やデジタル庁といったフォーラムに参加し、シニア世代がデジタル技術にアクセスするためのサポートを続けています。

著書と影響

若宮さんの著書には、シニア世代へのデジタル技術の理解を促す内容が多く含まれており、彼女自身の体験を通じたメッセージが込められています。特に彼女の著作『60歳を過ぎると、人生はどんどんおもしろくなります。』や『老いてこそデジタルを。』は、多くの人に影響を与えています。さらに、YouTubeチャンネルを運営し、旅行の思い出を動画として投稿するなど、積極的にデジタルの世界で活動しています。

最後に

若宮正子は、年齢に捉われず新しいことに挑戦し続ける姿勢を示す存在です。彼女のストーリーは、多くの人々に勇気を与えており、特にシニア層がデジタル技術に触れる機会を増やすための重要なメッセージを発信しています。彼女の存在は、人生100年時代を迎えた私たちにとっても、多くの示唆を与えてくれます。

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