茨城県信用組合

茨城県信用組合

茨城県信用組合（いばらきけんしんようくみあい、英語名称: The Ibaraki-ken Credit Cooperative）は、茨城県水戸市にその本店を構える信用組合です。略称として「けんしん」の愛称で親しまれています。

この信用組合は、日本の地域信用組合の中で非常に大きな存在感を示しています。特に、預金残高が1兆円を超える規模を誇り、これは近畿産業信用組合と並んで日本最大級の地域信用組合の一つとされています。その強固な基盤を活かし、地域社会の経済活動を支える重要な役割を果たしています。

組織運営においては、2012年に経営体制の刷新が行われました。実に25年ぶりとなる理事長の交代が実現し、副理事長を務めていた渡辺武氏が第4代目の理事長に就任しました。それまで長きにわたり理事長として組織を率いた幡谷祐一氏は、代表権を持つ会長という立場に移り、引き続き経営に関与しています。

また、地域における公共的な役割も担っています。具体的には、常陸大宮市の指定金融機関業務を、常陽銀行や筑波銀行といった他の主要な地域金融機関と連携し、輪番制で受託しています。これは、地方自治体の円滑な財政運営を支える上で不可欠な業務です。

沿革

茨城県信用組合の歴史は、1950年（昭和25年）11月25日に「茨城県商工信用組合」として設立されたことに始まります。設立以来、地域経済の発展とともに歩みを進めてきました。

組織の拡大は、他の信用組合との統合によって進められました。1956年（昭和31年）6月には大津信用組合を合併し、基盤を強化。その後、1983年（昭和58年）9月には、組織の名称を現在の「茨城県信用組合」へと変更し、より広範な地域金融機関としての位置づけを明確にしました。1990年（平成2年）4月には、大子信用組合を吸収合併し、県北地域におけるネットワークを拡充しました。

経営トップの活躍は、業界全体にも影響を与えました。1998年（平成10年）には、当時の理事長であった幡谷祐一氏が、全国の信用組合を束ねる全国信用協同組合連合会の会長に就任し、全国レベルでの信用組合業界の発展に貢献しました。

システム面では、2003年（平成15年）に全国信用組合共同センター（SKC）への加盟を果たし、共同システムを活用することで業務効率化とサービス向上を図りました。

2004年（平成16年）は、組織にとって特に変革の年となりました。1月13日には、県内の日立信用組合および勝田信用組合との大規模な合併を成功させました。これにより、県央・県北地域での営業基盤が飛躍的に強化され、合併後の名称は「茨城県信用組合」を維持しました。同年には、働きやすい環境整備の一環として事業所内保育園を開設したほか、4月には女性職員のみで構成される特色ある店舗を新設するなど、先進的な取り組みを実施しました。

経営規模の拡大は、具体的な数値としても表れています。2005年（平成17年）には、長年の目標であった預金量1兆円を達成し、地域金融機関としての確固たる地位を築きました。

職員の福利厚生や働きがい向上にも力を入れています。2006年（平成18年）1月4日には、子育てを支援するための出産祝い金制度を新設しました。

特定の産業分野へのサポートを強化するため、2008年（平成20年）には専門部署である農林水産部を新設しました。これにより、地域経済において重要な位置を占める農林水産業への金融支援体制を充実させました。

顧客サービスの向上を目指し、2010年（平成22年）からはセキュリティの高いICキャッシュカードの取り扱いを開始するなど、金融技術の進展に対応しています。

これらの取り組みを通じて、茨城県信用組合は地域社会に根差した金融機関として、利用者からの信頼を得ながら、持続的な発展を目指しています。

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