葬祭業

葬祭業の概要

葬祭業は、葬儀や関連する祭事の執行を専門に行う事業です。日本では、葬儀専業の業者が大半を占めており、地元密着型から全国チェーンまで様々なスタイルが展開されています。一方で、葬儀業には公的な資格や許可がなく、誰でも営業を行える環境にあります。このため、葬祭業者に関する資格が30以上存在しているものの、それらは必ずしも業務を行うために必要ではありません。これによって、資格商売の側面も見られるのが現状です。

日本の葬祭業

日本の葬祭業市場は、およそ1兆千億円と推定されています。業態は多岐にわたり、葬祭専門事業者が業者数の約2/3を占め、99%が中小規模の事業者です。その他にも、冠婚葬祭業者、農業協同組合、生活協同組合、電鉄グループ、ホテルなどが参入しています。また、葬祭業に関連する事業者には墓地・墓石、生花、霊柩運送などの周辺業者が含まれます。

都市部では全国チェーンの葬祭会館が提供する「画一化された葬儀」が普及している一方、地方では地域の慣習を重視した葬儀が好まれる傾向にあります。最近では、従来型の一般葬に対して、家族葬や直葬といった新たな葬儀スタイルが増加しています。これは、参列者数の減少や葬儀費用の抑制が影響していると考えられています。2010年代には葬儀料金の透明性向上やパック化により、定額料金制が導入され、オンラインでの申し込みも主流となりました。これに伴い、地元葬儀社との仲介を行う「葬儀仲介サービス」も現れ、業界の構造改革が進んでいます。

新たなビジネスモデル

近年では、「孤独死」に関連した新たなビジネスモデルが浮上しています。具体的には、孤独死後に無人状態となる不動産の遺族への手続き支援や特殊清掃、建物の解体に関わるサービスなどが求められています。これにより、土地の売買から発生する手数料や利益を上げる新たなビジネスが成り立っています。これらの変化は、葬祭業の事業者には新たな収入源を提供する一方で、消費者にとってはより選択肢が増えることにつながります。

中国の葬祭業の変遷

中国の葬祭業は、1950年代から1990年代にかけて大きな変化を遂げました。従来の葬儀産業が解体された後、葬儀は自宅か民政局で行われるようになりましたが、1990年代に入ってから葬儀業が市場サービスとして復活。市民の生活水準の向上とともに、葬儀業界も新たなニーズに応えざるを得なくなりました。

特に、1995年に設立された教育機関では、葬儀に関する専門的な知識と技術を学ぶプログラムが開設され、葬祭業界の人材育成が行われています。また、葬祭に関連する職務は国家資格として制度化され、職業技能検定試験が義務付けられるようになったことも特徴です。

国の統計によると、2009年度には政府関連の職員が約74,000人存在し、民間を含めると総計で約30万人の従事者がいると見られていますが、不明瞭な非合法な葬儀会社も多く実態は把握しきれていないのが現状です。

このように、日本と中国の葬祭業はそれぞれ独自の進化を遂げていますが、両国で共通しているのは、葬儀に対する社会的な関心が高まっている点です。これらの動向は今後も注目され、葬祭業はますます多様化し続けるでしょう。

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