裴宣

裴宣の生涯とその功績

裴宣（はいせん）は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する人物で、梁山泊における重要な役割を果たした。彼は第四十七位の好漢で、地正星の転生者とされている。もともとは京兆府で孔目（裁判官）として働いていたが、その誠実さと公正さが裏目に出て、悪徳官僚に罪を着せられて流罪となってしまった。

流刑にされた裴宣は、途中で飲馬川を通過する際に、当地の山賊である鄧飛と孟康に救出され、彼らの首領となることとなる。その後、故郷に帰る途中、梨州からの使者の戴宗と彼に同行していた楊林に出会い、梁山泊の名声を知ります。彼は仲間入りを志願し、仲間とともに梁山泊に参加することとなった。

梁山泊での活躍

梁山泊に入った裴宣は、その法学の知識と卓越した事務処理能力が評価され、軍政司に任命された。彼はすぐに梁山泊内の新たな規則や論功賞罰の制度を構築し、員数調査を行い、合戦における動員可能な兵力の把握を行った。彼の手腕により、梁山泊はただの山賊団から組織だった軍に変貌を遂げた。

裴宣は、部隊の編成や戦後の論功行賞に関する業務も担い、事務責任者として多くの人事異動を監督した。また、外見は恰幅がよく、身なりも上品であったため、役人に扮して計策に加わることもあった。彼の積極的な姿勢と誠実さは、仲間たちに強い信頼を持たれていた。

戦いと勇気

百八星が集結した後も裴宣は引き続き軍政司として活動し、官軍との数々の戦闘や、招安後の戦闘においてもその職務を果たした。王慶征伐の戦いでは、敵に捕らえられるも、拷問にも屈せずその勇気を示した。彼の強い意志は、仲間たちの士気を高める大きな要素となった。

方臘討伐の後も生き残った裴宣は、朝廷へ報告を行うための上奏文を作成し、凱旋後は武奕郎、および都統領の地位を授与される。しかし、腐敗した朝廷の実情を理解していた彼は、宮仕えを潔しとせず、長らくの間、楊林と共に飲馬川に隠棲し、穏やかな生活を楽しんだ。

裴宣の生涯は、厳しい運命を乗り越え、自らの才能を活かして組織を形成する力を持った人物の物語である。彼の存在は梁山泊の志士たちにとって、法と正義の象徴といえるだろう。

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