複雑性PTSD

複雑性PTSD（C-PTSD）について

概述

複雑性PTSD（C-PTSD）は、長期間にわたるトラウマ体験の結果として現れる心的外傷後ストレス障害の一種です。特に、家庭内[[暴力]]や児童虐待、戦争などの対人関係での暴力がその要因となることが多く、被害者は自己尊重や感情の調整、対人関係において慢性的な困難を抱えることになります。

この障害は、一般的なPTSDとは異なり、否定的な自己認知や対人関係の問題に加え、脅威感や再体験、回避といった症状を伴います。世界保健機関（WHO）の国際疾病分類ICD-11において、この障害は2022年1月1日から公式に認識されています。

症状

複雑性PTSDの主な症状は、以下のように多岐にわたります：

• - 感情調節の障害：感情のコントロールが難しく、過剰な反応や逆に麻痺した状態が見られます。
• - 解離症状：トラウマ経験に関連した記憶が断片化され、本人がそれを意識的に理解することが困難になります。
• - 身体症状：無意識に体に現れる緊張感や痛み、倦怠感などが含まれます。
• - 劣等感や疎外感：周囲から孤独を感じ、自身を低く評価します。
• - 自己破壊的行動：自分を傷つけたり、危険な行動を取ったりすることがあり、依存症に陥ることもあります。

これらの症状は、外部からの脅威に対する持続的な反応の結果として現れ、自己認識や他者との関係性に深刻な影響を及ぼします。

原因

複雑性PTSDは、主に幼少期からの慢性的なトラウマが原因であるため、症状が表れるのは外傷的事件から何年も経ってからでも可能です。また、トラウマとなる出来事が一連の事件として重なり合うことが多く、単独の出来事として捉えられにくいという特徴もあります。このように、因果関係は複雑であり、一見無関係な出来事が関連し合うこともあります。

治療方法

治療は、患者と治療者の信頼関係が重要です。治療者は安定した存在となり、患者の感じる不安や苦しみに共感し、受け入れる姿勢が求められます。

STAIR/NST療法

複雑性PTSDに対する治療法として、STAIR/NST療法が効果的とされます。この療法は、

• - STAIR（感情調整と対人関係調整スキルトレーニング）
• - NST（ナラティブ・ストーリー・テリング） から構成され、患者が段階的にトラウマから解放されることを目指します。スキルを身につけつつ、自身の感情を言語化し、過去の経験に意味を見出すことが重要視されています。

治療セッションでは、感情に気づくこと、調整すること、対人関係の理解や変更、コミュニケーションスキルの向上など、多様な技術が導入されます。特に、患者が自身の強みや肯定的な経験を認識できることが、回復の促進に寄与します。

結論

複雑性PTSDは深刻な心の問題であり、適切な治療と支援が不可欠です。困難な過去を抱える方々にとって、専門的な介入と理解のある関係が希望の光となります。

もう一度検索