西郷菊次郎

西郷菊次郎の生涯

西郷菊次郎（さいごう きくじろう）は、1861年2月11日、奄美大島の龍郷に生まれた。幕末の英雄、西郷隆盛の長男であり、彼の家系は多くの政治的影響を持つこととなる。菊次郎には妹の菊草、異母弟の寅太郎、午次郎、酉三がいる。彼は父と母により愛情を注がれ日々を過ごし、9歳で鹿児島の西郷本家に移る。

菊次郎は、12歳で渡米し、約2年間の留学を経験。農業学を学びながら幅広い知識を養った。帰国後、17歳の時に西南戦争が勃発し、薩軍に参加。その戦闘で右足に重傷を負い、膝下を失うという厳しい試練を迎えた。この時、負傷後は叔父の西郷従道に投降し、家族との絆も深まる。療養先の延岡市北川町には、彼の加療を示す案内板が残されている。

明治時代の活躍

戦後、菊次郎は23歳で外務省に入省し、その後アメリカ公使館に勤務。1887年には再度アメリカに留学し、名高いジョンズ・ホプキンス大学で学んだが、身体の不調により中断し帰国。しばらくの間、宮内省式部官を務めた後、日清戦争の結果、日本が台湾を獲得した際に台湾に転任。基隆と宜蘭の庁長として、地元の発展に寄与した。

菊次郎の最も注目すべき業績は、約7年間の京都市長在任時に推進した「京都百年の大計」である。彼は、第二琵琶湖疏水の開削や上水道整備、道路拡築といった三大事業の実施を主導した。しかし、これらのプロジェクトには膨大な資金が必要であり、資金調達に苦しんだ。1909年には三井銀行との提携を結び、フランス・パリから4,500万フランの外債を発行し、事業をスムーズに進めることができた。

1911年、体調の悪化を理由に市長を辞任し、鹿児島に帰郷。その後も地域に貢献するため、療養中の菊次郎は、多額の慰労金を受け取ったことへの感謝の手紙を残した。1920年には、島津家管理の永野金山鉱業長に就任し、青少年育成や地域振興に貢献する活動を続けた。

最後の年

彼の人生は1928年11月27日、鹿児島市自宅で心臓麻痺により幕を閉じた。享年67歳。彼の墓所は鹿児島市西郷家墓地にあり、同家の名を受け継ぐ存在として現在も語り継がれている。

菊次郎の生涯を通じて、彼が果たした役割や功績は、当時の日本の政治や外交における重要な一端を示している。西郷家という歴史的背景を持ちながらも、彼自身の努力と貢献は、多くの人々の記憶に刻まれている。

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