診察

診察：患者の状態を把握する医療行為

診察とは、医師や歯科医師が患者の病状を正確に把握するために、問診や身体検査などを通して行う医療行為です。医療系国家資格者のみが行うことができ、その結果に基づいて診断と治療方針が決定されます。

診察の内容：多様なアプローチ

診察には、患者の情報を多角的に収集する様々な方法が含まれます。1978年発刊の吉利和の内科診断学テキストでは、臨床検査や画像検査なども診察の範囲に含めています。これは、体温計や聴診器といった比較的安価な機器から、PETやMRIといった高度な医療機器まで、幅広いツールを用いることを意味します。

診察方法は医科と歯科で大きく変わるわけではありませんが、初診において患者の情報を正確に把握するために非常に重要なプロセスであり、保険診療においても重要な要素です。

1. 医療面接：患者の言葉から情報収集

診察の最初のステップは、医療面接です。医師は患者の訴え（主訴）を丁寧に聞き取り、病状の経過（現病歴）、既往歴、薬剤歴、家族歴、生活習慣（喫煙、飲酒など）、職業歴、渡航歴、動物飼育歴といった情報を詳細に質問します。

患者は「いつから」「どのようなきっかけで」「症状の持続時間」「症状を和らげる方法」「関連症状の有無」「症状の変化」を明確に伝えることが重要です。服用中の薬やサプリメントがあれば、必ず医師に提示しましょう。

2. 身体所見：五感を用いた検査

身体所見（理学所見）では、医師は五感を駆使して患者の体の異常を探ります。これは、視診、聴診、触診、打診といった方法で行われます。

視診: 外見、歩き方、表情、皮膚の状態、腫れ、変形などを観察します。
聴診: 聴診器を用いて、心音、呼吸音、腸音などを聴取します。
触診: 手で触れて、温度、硬さ、腫れ、圧痛などを確認します。
打診: 指や器具で叩いて、体の内部の状態を調べます。打診音の種類（清音、濁音、鼓音など）から、臓器の状態を推測します。

さらに、専門科によっては眼底検査、内診、神経学的検査など、より専門的な診察が行われます。

3. 東洋医学の診察：四診

東洋医学では、望診（視診）、聞診（聴診）、問診、切診（触診）の四診を用いた診察方法があります。

望診: 体型、皮膚の色、舌の状態などを観察します。
聞診: 声や体臭から状態を判断します。
問診: 病状に関する詳細な情報を聞き出します。
切診: 脈診、腹診など、体を触診して診断します。

これらの診察方法は、西洋医学と東洋医学それぞれの視点から患者の状態を多角的に把握するために用いられます。現代医療においても、これらの方法を組み合わせることで、より正確な診断と効果的な治療へと繋がります。 診察は、患者と医師の綿密な連携の上に成り立つ重要な医療行為なのです。

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