豊留悦男

豊留 悦男

豊留 悦男（とよどめ えつお）は、1950年（昭和25年）6月17日に生まれた日本の政治家であり、かつては教育者としても長年活躍した人物です。特に、鹿児島県指宿市の市長を3期にわたり務めたことで知られています。

生い立ちと教育者としての経歴

豊留氏は、幼少期を指宿市内で過ごし、地元の指宿市立柳田小学校を1963年に卒業しました。続いて、指宿市立北指宿中学校で学び、1966年に卒業。高校は鹿児島県立甲南高等学校に進学し、1969年に卒業しました。高等教育機関としては、鹿児島大学教育学部で学び、1973年3月に同学部を卒業しました。

大学卒業後、豊留氏は教員の道に進み、同年4月には鹿児島県の教職員となりました。教育現場でのキャリアは多岐にわたり、管理職としても重要な役割を果たしました。1996年には喜入町立瀬々串小学校の教頭に就任。その後、2002年には出水市立米ノ津東小学校の校長を務め、学校運営における指導力を発揮しました。また、教育行政にも深く関わり、2005年には指宿市教育委員会で学校教育課長を務めました。さらに、2009年には鹿児島市立大龍小学校の校長を歴任するなど、長年にわたり教育分野での経験と実績を積み重ねました。

指宿市長として

教育者としての経験を積んだ後、豊留氏は政治の世界に転じ、地元である指宿市の市政に貢献することを目指しました。2010年（平成22年）2月7日に行われた指宿市長選挙に無所属で立候補。この選挙では、現職市長の後継候補とされる人物や元市議など、複数の対立候補が存在する中で、激しい選挙戦を展開しました。結果として、豊留氏は10,088票を獲得し、7,316票を得た元県議の候補、6,544票の元市議候補、3,858票の社会福祉法人理事長候補を破り、見事初当選を果たしました。投票率は75.60％と高い関心を集める選挙でした。同年2月12日、豊留氏は第2代指宿市長に就任しました。

その後も市政運営への信任を得続け、2014年（平成26年）2月2日に行われた市長選挙では、元市議の候補者を退け再選を果たしました。この時の得票数は豊留氏が13,974票、対立候補が10,992票でした。投票率は69.79％でした。引き続き、第3代市長として市政を担いました。

さらに、2018年（平成30年）2月4日の選挙においても、再び同じ対立候補との選挙戦となりましたが、これを制し3期目の当選を果たしました。投票率は66.88％でした。これにより、豊留氏は第4代指宿市長として継続して市政運営を任されることになりました。

しかし、2022年（令和4年）2月6日に行われた市長選挙では、新たな候補者である元衆議院議員に敗れ、惜しくも4期目の当選はなりませんでした。

主な市政における取り組み

豊留氏の市長在任期間中には、いくつかの注目すべき政策が実施されました。特に、多様な性のあり方を尊重する社会の実現に向けた取り組みとして、パートナーシップ宣誓制度の導入が挙げられます。

2019年（令和元年）10月、LGBTなどの性的マイノリティ当事者やその支援者で構成される指宿市の市民団体から、同性カップル等が婚姻に準ずる関係であることを公的に証明するパートナーシップ宣誓制度の導入を求める要望書が市に提出されました。これに対し、豊留市長は制度導入の必要性を認識し、検討を進めました。そして、2020年（令和2年）9月1日には、翌年4月からの制度導入を正式に発表しました。予定通り、2021年（令和3年）4月1日より、指宿市においてパートナーシップ宣誓制度が開始されました。この制度は、法的に婚姻関係を結べない同性カップルなどが、自治体に対して二人の関係性について宣誓を行うことで、市の行政サービスの一部において配慮や支援を受けられるようにすることを目的としており、性的マイノリティ当事者とその家族が安心して暮らせる環境整備に向けた一歩として評価されました。

教育者、そして指宿市長として、長年にわたり地域の発展と住民福祉の向上に尽力した人物です。

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