遊☆戯☆王GX

遊☆戯☆王GX (漫画)

『遊☆戯☆王GX』は、高橋和希氏が原案・監修、影山なおゆき氏が作画を担当した日本の漫画作品です。集英社の『Vジャンプ』にて2006年2月号から2011年5月号まで連載されました。アニメ作品『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』のメディアミックスの一環として制作され、主要キャラクターや基本設定は共通していますが、アニメとは異なるキャラクター設定や世界観が展開されます。また、本作オリジナルのキャラクターが登場するのも特徴です。

概要

アニメ版との主な違いとして、アニメでは登場頻度の高かった前田隼人、大徳寺教諭、斎王琢磨などが本作には登場しません。また、タイトルの「GX」のデザインもアニメ版とは異なっています。

前シリーズである『遊☆戯☆王』や『遊☆戯☆王R』との時間軸上の関係は明確にはされていませんが、回想シーンなどでペガサスや千年アイテムが登場するほか、カードゲームの名称は原作同様「マジック&ウィザーズ」（M&W）のままです。

主人公である遊城十代の使用するE・HERO（エレメンタルヒーロー）の構成もアニメ版とは異なっています。これは、連載開始時にアニメで「ネオス」系のE・HEROが登場することを受け、「いっそ違うHEROでいこう」と高橋氏と影山氏が相談して決定したとのことです。ただし、回想シーンでの「十代vs紅葉」戦では、十代が「フレイム・ウイングマン」などアニメ1年目に登場したモンスターを使用しています。また、「ワイルドマン」や「バブルマン」など、本編で何度か登場するE・HEROも存在します。

本編に登場するカードには、『遊☆戯☆王』や『遊☆戯☆王R』には見られない、融合モンスターのカードが描かれています。また、カードの攻撃力/守備力の表示も、ATK/DEFへと変更されました。

原作者の高橋和希氏からは、連載中にOCGで登場した「シンクロモンスター」は出さないように指示がありましたが、作中に登場した「ライトエンド・ドラゴン」と「ダークエンド・ドラゴン」はシンクロモンスターとしてOCG化されています。

物語

物語の舞台は、次世代のデュエリストを育成する学園「デュエル・アカデミア」です。学園には、生徒の実力に応じて「オベリスク・ブルー」「ラー・イエロー」「オシリス・レッド」の3つの階級が存在します。主人公の遊城十代は、実力はあるものの最下位の「オシリス・レッド」に所属し、E・HERO（エレメンタルヒーロー）を駆使して数々のデュエルを繰り広げていきます。

物語は大きく分けて3つの章で構成されています。

第1章: 入試デュエルでクロノス教諭に勝利した十代が、学園生活を満喫しながらライバルたちとデュエルを重ね、己の原点である響紅葉との出会いを思い出すまでが描かれます。
第2章: 留学していた丸藤亮がアカデミアに帰還し、帰還記念デュエル大会が開催されます。大会にはカイザー亮との決闘を目標とする十代のほか、2人の留学生、そして天上院吹雪も参加し、物語は混沌としていきます。「プラネット・シリーズ」「精霊のカード」「マアトの羽」「闇の決闘」など、謎のキーワードが飛び交う中、大会の優勝者は誰になるのかが描かれます。
第3章: 亮帰還記念デュエル大会後、デイビット・ラブが意識不明の重体となり、レジー・マッケンジーが記憶喪失になるなど、大会の傷跡は大きいものでした。そんな中、新たに4人の留学生がアカデミアを訪れ、「邪悪なる者」の導きによって、新たな物語が始まります。

登場人物

デュエル・アカデミア

遊城 十代（ゆうき じゅうだい）: 主人公。オシリス・レッド所属でデュエル・キングを目指しています。使用デッキはアニメ版とは異なる【E・HERO】。第3章からは【M・HERO（マスクド・ヒーロー）】を使用します。プロデュエリストの響紅葉との出会いがデュエルを始めるきっかけとなりました。紅葉から譲り受けた魂のデッキを主力としています。カードに宿る「精霊」を見る事ができ、精霊を宿したカード「ハネクリボー」を所持しています。
万丈目 準（まんじょうめ じゅん）: オベリスク・ブルー所属でデュエル・キングを目指しています。アニメ版とは異なり、クールな性格をしています。使用デッキは【ドラゴン族】。ジュニアチャンプであり、カードに宿る「精霊」を見る事が出来、「光と闇の竜」を所持しています。
三沢 大地（みさわ だいち）: ラー・イエロー所属。入学試験主席。明日香に好意を抱いています。使用デッキはアニメ版とは違い、【妖怪族】（OCGではアンデッド族）です。
天上院 明日香（てんじょういん あすか）: オベリスク・ブルー所属の女子生徒。冷静沈着な性格をしています。使用デッキはアニメ版で使用された「白夜デッキ」と似た【氷】です。
丸藤 翔（まるふじ しょう）: オシリス・レッド所属。内気で気弱な性格。使用デッキはアニメで使用されているビークロイドとは違う【ビークロイド】です。
丸藤 亮（まるふじ りょう）: オベリスク・ブルー所属。翔の兄で「カイザー亮」という異名を持ちます。使用デッキはアニメ版で使用した「サイバー・ドラゴン」に加え、【サイバー】です。
天上院 吹雪（てんじょういん ふぶき）: オベリスク・ブルー所属。明日香の兄で「キング吹雪」という異名を持ちます。使用デッキはアニメ版とは異なり【真紅眼】ではなく、【スフィア】です。
クロノス・デ・メディチ: デュエルアカデミア実技担当最高責任者。生徒を大切にする優しい面を持つ人物です。
響 みどり（ひびき みどり）: オシリスレッド1年生の担任。温厚な性格で生徒の面倒見が良い人物です。使用デッキは【堕天使】。
小日向 星華（こひなた せいか）: オベリスク・ブルー所属。プライドが高く、明日香や十代に敵対心をあらわにする人物です。使用デッキは【爬虫類族】。

アメリカ・デュエル・アカデミア

デイビット・ラブ: アメリカ校からの留学生。「プラネット・シリーズ」の1体「The big SATURN」を所持しています。使用デッキは【機械族】。
レジー・マッケンジー: アメリカ校からの留学生。「プラネット・シリーズ」の1体「The splendid VENUS」を所持しています。使用デッキは【天使族】。
ジェームズ・クロコダイル・クック: アメリカ校からの留学生。「プラネット・シリーズ」の1体「The tyrant NEPTUNE」を切り札としています。使用デッキは【アリゲーター】。
アモン・ガラム: プロを目指すアメリカ校からの留学生。「プラネット・シリーズ」の1体「The Despair Uranus」を使用。使用デッキは【封印獣】。
ヨハン・アンデルセン: アメリカ校からの留学生。虫が好きで、十代と意気投合します。「プラネット・シリーズ」の1体「The tripping MERCURY」を切り札としています。使用デッキは【昆虫族】。
オースチン・オブライエン: アメリカ校からの留学生。「プラネット・シリーズ」の1体「The blazing MARS」を与えられています。使用デッキは【エレクトロ】。
エド・フェニックス: アメリカ校からの留学生にしてプロデュエリスト。「プラネット・シリーズ」の1体「The grand JUPITER」を使用します。使用デッキは【V・HERO】。

その他

響 紅葉（ひびき こうよう）: 響 みどりの弟。E・HERO使いで第3回世界チャンピオン。十代にデュエルのきっかけを与えた人物です。使用デッキは【E・HERO】。
トラゴエディア: 本作品の第2章から現れた敵の黒幕。現在はマッケンジーの体に憑依しています。

キーモンスター

HERO

E・HERO（エレメンタル・ヒーロー）: プロデュエリスト・響紅葉が使用するHERO。紅葉の引退時に幼少期の十代に託され、以後は彼のデッキとなっています。
M・HERO（マスクド・ヒーロー）: 第3章から十代が使用。「変身召喚」により、新たなHEROをエクストラデッキから特殊召喚します。
V・HERO（ヴィジョン・ヒーロー）: プロデュエリストであるエド・フェニックスが使用するHERO。魔法＆罠カードゾーンに存在するV・HEROを融合させるサポートカードも存在します。

精霊のカード

ハネクリボー: 十代の相棒。精霊が宿っています。元々は紅葉が所持していました。自身が破壊されたターンのみ、あらゆるダメージを無効化する特殊能力を持ちます。
光と闇の竜（ライトアンドダークネス・ドラゴン）: 万丈目が使用するドラゴン族モンスター。万丈目の精霊。フィールド上に表側表示で存在する限り効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効化します。
マアト: 2体の精霊モンスター「ハネクリボー」と「光と闇の竜」が融合したモンスター。カード名を宣言し、ドローする効果を持ちます。

プラネット・シリーズ

太陽系の惑星の名を冠するモンスターカード。各カードとも世界に1枚しか存在しません。

The supremacy SUN（ザ・スプレマシー・サン）: マッケンジー（トラゴエディア）の持つモンスター。
The tripping MERCURY（ザ・トリッピング・マーキュリー）: ヨハンの持つモンスター。
The splendid VENUS（ザ・スプレンディッド・ヴィーナス）: レジー・マッケンジーの持つモンスター。
E・HERO ジ・アース: 遊城十代の持つモンスター。
The blazing MARS（ザ・ブレイジング・マーズ）: オブライエンの持つモンスター。
The grand JUPITER（ザ・グランド・ジュピター）: エドの持つモンスター。
The big SATURN（ザ・ビッグ・サターン）: デイビットの持つモンスター。
The Despair Uranus（ザ・ディスペア・ウラヌス）: アモンの持つモンスター。
The tyrant NEPTUNE（ザ・タイラント・ネプチューン）: クロコダイルの持つモンスター。
The suppression PLUTO（ザ・サプレッション・プルート）: マッケンジーに操られた吹雪が持つモンスター。

その他

ダークエンド・ドラゴン: 万丈目が使用する闇属性のドラゴン。「光と闇の竜」の闇の面とよく似ています。
ライトエンド・ドラゴン: 万丈目が使用する光属性のドラゴン。「光と闇の竜」の光の面とよく似ています。
邪龍アナンタ: 小日向星華が使用するモンスター。通常召喚できず、特殊な条件で特殊召喚されます。
サイバー・エルタニン: 丸藤亮が使用する「サイバー」モンスター。除外された「サイバー」モンスターの数だけ攻撃力をアップする効果を持ちます。
* トラゴエディア: 本作品の第2章から現れた敵の黒幕。現在はマッケンジーの体に憑依しています。

書籍情報

高橋和希（原案・監修） / 影山なおゆき（作画） 『遊☆戯☆王GX』 集英社〈ジャンプコミックス〉、全9巻

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