都市迷彩

都市迷彩：市街戦における視覚的偽装

都市迷彩は、市街戦において敵の目を欺き、車両や兵士の存在を隠蔽するために用いられる特殊な迷彩技術です。従来の野戦迷彩が森林や砂漠などの自然環境に溶け込むことを目的とするのに対し、都市迷彩は都市特有の景観に合わせた色彩とパターンを採用しています。

特徴

野戦迷彩では、緑、茶色、ベージュなどの自然色と曲線的なパターンが一般的ですが、都市迷彩では黒、白、灰色などの無彩色と直線的なパターンが多用されます。これは、都市部の建物や道路、コンクリート構造物などが直線的で無機質な色彩を持つため、それに擬態することで迷彩効果を高めるためです。

歴史

都市迷彩の歴史は、冷戦時代にまで遡ります。西ドイツに駐留していたイギリス陸軍は、「ベルリン迷彩」と呼ばれる、コントラストの強い直線的な迷彩パターンを使用していました。これは、当時のベルリン市街の景観を考慮したものでした。

アメリカ軍は1980年代から1990年代にかけて、都市迷彩を含む様々な迷彩パターンの研究を行いました。Terrain Analysis System（TAS）と呼ばれるシステムを用いて、様々な地形のデータを収集し、デジタル化された風景写真から、戦場となる地形状況においてどのような色がどの程度の割合で含まれるかを数値化しました。このデータは、都市迷彩の開発にも活用されました。

1994年、アメリカ海兵隊はMilitary Operations on Urbanized Terrain（MOUT）と呼ばれる研究プログラムで、戦闘服用の都市迷彩パターンを開発し、1999年の市街戦演習『アーバン・ウォリアー』で試験的に使用しました。しかし、正式採用には至りませんでした。

2000年代に入ると、アメリカ陸軍はACU（Advanced Combat Uniform）と呼ばれる新型戦闘服を開発し、その中でUCP（Universal Camouflage Pattern）と呼ばれる灰緑色を基調とした新しい迷彩パターンを採用しました。UCPは、市街地と野戦の両方で効果を発揮するとされていましたが、実際には都市部での迷彩効果が不十分であるという批判もありました。

画像

都市迷彩の例1
都市迷彩の例2
都市迷彩の例3
都市迷彩の例4
都市迷彩の例5
都市迷彩の例6

関連事項

迷彩
市街戦

もう一度検索