野々村直通
野々村直通氏は、1951年12月14日に島根県で生まれ、教育評論家、画家、そして野球指導者として多岐にわたる顔を持つ人物です。元々は高校の美術教師として教壇に立ち、現在はよしもとクリエイティブ・エージェンシーにマネジメント契約で所属しています。
故郷の島根県立大東高校を卒業後、広島大学の学校教育学部美術科に進みました。大学時代は硬式野球部に所属し、2年生時には広島六大学リーグで首位打者のタイトルを獲得。4年生では主将を務め、全日本大学野球選手権大会へのチーム初の出場を牽起しました。この大会では四番・一塁手として出場しましたが、初戦で同志社大学に敗れています。
大学卒業後、広島県立府中東高校に美術教師として赴任。同時に野球部監督も兼任し、1978年秋の中国地区大会で準優勝を果たし、翌1979年の第51回選抜高等学校野球大会に監督として初めて甲子園の土を踏みました。この頃の広島県における高校野球指導者との激しい競争を振り返り、「常在戦場」とも言える環境こそが自身の野球の原点だと語っています。その後、島根県に戻り、松江日大高校での監督を経て、松江第一高校（現在の開星高校）の教員となり、1988年4月に野球部を創部、初代監督に就任しました。
開星高校野球部を率いて創部6年目の1993年、夏の第75回全国高等学校野球選手権大会に初めて出場。1998年秋には中国大会で島根県勢として33年ぶりの優勝という快挙を達成し、神宮大会へ駒を進めましたが、後に部員の大会参加資格規定違反が発覚。該当部員が出場した試合の記録が無効となり、翌春の選抜大会への出場も叶いませんでした。この件で日本学生野球協会から警告処分を受けています。しかしその後も指導を続け、2007年の第89回全国高等学校野球選手権大会で、監督として甲子園での初勝利を挙げました。さらに2009年の第81回選抜高等学校野球大会では、前年の神宮大会覇者である慶応義塾高校を破り、選抜での初勝利も飾っています。同年秋には再び中国大会を制し、翌2010年の第82回選抜大会に出場しましたが、初戦で21世紀枠選出校に敗北。試合後のインタビューでの「21世紀枠に負けたのは末代までの恥。切腹して死にたい」といった過激な発言が波紋を呼び、一時監督を辞任しました。謝罪会見では、地元の期待に応えられなかった悔しさや、中国地区代表としての責任感から出た言葉であったと釈明しましたが、辞任後も誹謗中傷が部員や学校にも及び、練習に集中できない状況が生まれました。
辞任から約1年後、復帰を望む声や署名活動などもあり、2011年3月12日に監督に再任。しかし、同年の夏の第93回全国高等学校野球選手権大会出場を最後に再び監督を退き、2012年3月をもって開星高校を定年退職しました。この最後の夏の大会での敗戦は、デイリースポーツ紙上で「末代まで誇れる敗戦」と評され、チームの健闘が称えられました。
教職を離れた2012年4月からは、教育評論家としての活動を開始。サンケイスポーツでのコラム連載『末代までの教育論』を担当するなど、メディアにも多数出演し、教育に関する持論を発信しています。
そのユニークな言動や外見も注目を集めました。抽選会での羽織袴姿や紫色のラメ入りスーツ、菅原文太氏を模したような短髪にサングラス、監督室に掲げられた日章旗や旭日旗など、根っからの愛国者としての一面を覗かせました。さらに練習や試合中の激しい怒声で相手チームを威圧することから、「ヤクザ監督」という異名で呼ばれることもありましたが、その裏腹に実直な指導姿勢は多くの教え子や関係者から深く慕われ、厚い信頼を得ていました。
教育や野球に関する主張も独特です。体罰に対しては一貫して容認する立場を取り、体罰禁止が教育現場を委縮させていると主張。夏の甲子園については、酷暑の中でのプレーを「暑さに耐えるのも教育」「鍛えてたら死にません」と肯定的な見方を示しています。また、性差について「男は狩猟、女は育児」といった独自の論を展開し、野球のバットとミットに例えるなどしています。21世紀枠についても言及しており、練習環境に恵まれない地域や災害被災校の出場には賛成する一方、文武両道を理由とした選出には疑問を呈しています。
実は画家としての側面も持っています。伯父が芸術家であった影響で幼少期から絵を描き始め、高校教員時代は美術を担当。「山陰のピカソ」と称されることもありました。個展を開催したり、島根県警鑑識課で似顔絵の特別講師を務めたりした経験もあります。開星高校野球部のユニフォームのデザインも手掛け、卒業する部員一人ひとりに似顔絵を贈ることを長く続けていました。過去には、北朝鮮工作員の可能性のある人物の似顔絵を証言に基づいて作成したこともあります。2015年7月には自身の画廊を島根県松江市に開設し、島根県農業協同組合（JAしまね）の月刊誌表紙の原画も担当するなど、現在も画家として精力的に活動しています。
開星高校監督時代には、片岡光宏氏、杉原洋氏、梶谷隆幸氏、白根尚貴氏、糸原健斗氏といったプロ野球選手を輩出しています。
2020年2月には、2012年の退任以来となる開星高校硬式野球部監督への再復帰が発表され、再び指導の現場に戻っています。著書には『やくざ監督と呼ばれて 〜山陰のピカソ・野々村直通一代記』や『強育論 〜悩める大人たちに告ぐ!「いじめの芽を摘む」特効薬』などがあります。
多角的な視点と個性的な言動で常に注目を集める人物です。
故郷の島根県立大東高校を卒業後、広島大学の学校教育学部美術科に進みました。大学時代は硬式野球部に所属し、2年生時には広島六大学リーグで首位打者のタイトルを獲得。4年生では主将を務め、全日本大学野球選手権大会へのチーム初の出場を牽起しました。この大会では四番・一塁手として出場しましたが、初戦で同志社大学に敗れています。
大学卒業後、広島県立府中東高校に美術教師として赴任。同時に野球部監督も兼任し、1978年秋の中国地区大会で準優勝を果たし、翌1979年の第51回選抜高等学校野球大会に監督として初めて甲子園の土を踏みました。この頃の広島県における高校野球指導者との激しい競争を振り返り、「常在戦場」とも言える環境こそが自身の野球の原点だと語っています。その後、島根県に戻り、松江日大高校での監督を経て、松江第一高校（現在の開星高校）の教員となり、1988年4月に野球部を創部、初代監督に就任しました。
開星高校野球部を率いて創部6年目の1993年、夏の第75回全国高等学校野球選手権大会に初めて出場。1998年秋には中国大会で島根県勢として33年ぶりの優勝という快挙を達成し、神宮大会へ駒を進めましたが、後に部員の大会参加資格規定違反が発覚。該当部員が出場した試合の記録が無効となり、翌春の選抜大会への出場も叶いませんでした。この件で日本学生野球協会から警告処分を受けています。しかしその後も指導を続け、2007年の第89回全国高等学校野球選手権大会で、監督として甲子園での初勝利を挙げました。さらに2009年の第81回選抜高等学校野球大会では、前年の神宮大会覇者である慶応義塾高校を破り、選抜での初勝利も飾っています。同年秋には再び中国大会を制し、翌2010年の第82回選抜大会に出場しましたが、初戦で21世紀枠選出校に敗北。試合後のインタビューでの「21世紀枠に負けたのは末代までの恥。切腹して死にたい」といった過激な発言が波紋を呼び、一時監督を辞任しました。謝罪会見では、地元の期待に応えられなかった悔しさや、中国地区代表としての責任感から出た言葉であったと釈明しましたが、辞任後も誹謗中傷が部員や学校にも及び、練習に集中できない状況が生まれました。
辞任から約1年後、復帰を望む声や署名活動などもあり、2011年3月12日に監督に再任。しかし、同年の夏の第93回全国高等学校野球選手権大会出場を最後に再び監督を退き、2012年3月をもって開星高校を定年退職しました。この最後の夏の大会での敗戦は、デイリースポーツ紙上で「末代まで誇れる敗戦」と評され、チームの健闘が称えられました。
教職を離れた2012年4月からは、教育評論家としての活動を開始。サンケイスポーツでのコラム連載『末代までの教育論』を担当するなど、メディアにも多数出演し、教育に関する持論を発信しています。
そのユニークな言動や外見も注目を集めました。抽選会での羽織袴姿や紫色のラメ入りスーツ、菅原文太氏を模したような短髪にサングラス、監督室に掲げられた日章旗や旭日旗など、根っからの愛国者としての一面を覗かせました。さらに練習や試合中の激しい怒声で相手チームを威圧することから、「ヤクザ監督」という異名で呼ばれることもありましたが、その裏腹に実直な指導姿勢は多くの教え子や関係者から深く慕われ、厚い信頼を得ていました。
教育や野球に関する主張も独特です。体罰に対しては一貫して容認する立場を取り、体罰禁止が教育現場を委縮させていると主張。夏の甲子園については、酷暑の中でのプレーを「暑さに耐えるのも教育」「鍛えてたら死にません」と肯定的な見方を示しています。また、性差について「男は狩猟、女は育児」といった独自の論を展開し、野球のバットとミットに例えるなどしています。21世紀枠についても言及しており、練習環境に恵まれない地域や災害被災校の出場には賛成する一方、文武両道を理由とした選出には疑問を呈しています。
実は画家としての側面も持っています。伯父が芸術家であった影響で幼少期から絵を描き始め、高校教員時代は美術を担当。「山陰のピカソ」と称されることもありました。個展を開催したり、島根県警鑑識課で似顔絵の特別講師を務めたりした経験もあります。開星高校野球部のユニフォームのデザインも手掛け、卒業する部員一人ひとりに似顔絵を贈ることを長く続けていました。過去には、北朝鮮工作員の可能性のある人物の似顔絵を証言に基づいて作成したこともあります。2015年7月には自身の画廊を島根県松江市に開設し、島根県農業協同組合（JAしまね）の月刊誌表紙の原画も担当するなど、現在も画家として精力的に活動しています。
開星高校監督時代には、片岡光宏氏、杉原洋氏、梶谷隆幸氏、白根尚貴氏、糸原健斗氏といったプロ野球選手を輩出しています。
2020年2月には、2012年の退任以来となる開星高校硬式野球部監督への再復帰が発表され、再び指導の現場に戻っています。著書には『やくざ監督と呼ばれて 〜山陰のピカソ・野々村直通一代記』や『強育論 〜悩める大人たちに告ぐ!「いじめの芽を摘む」特効薬』などがあります。
多角的な視点と個性的な言動で常に注目を集める人物です。
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。