野菜ジュース

野菜ジュース：家庭の味からグローバルな健康飲料まで

野菜ジュースは、新鮮な野菜を搾ったり、すりつぶしたりして作られる、手軽で栄養価の高い飲料です。家庭で手作りされるものから、多様な商品が並ぶスーパーマーケットに陳列される市販品まで、その歴史とバリエーションは実に豊かです。

歴史：家庭の味から産業へと進化

野菜ジュースの歴史は古く、家庭で野菜を絞ったり、すりおろしたりして作られていたものがその始まりです。市販品としては、アメリカでは1948年にキャンベル社のV8野菜ジュースが発売され、大きな成功を収めました。この製品は、後の野菜ジュース市場に大きな影響を与えました。

日本においては、トマトジュースの原料不足を背景に、1957年または1959年に明治製菓（現・明治）が「明治野菜ジュース・V7」を発売。その後、1962年にはV8野菜ジュースの輸入が始まり、1966年には国産メーカーによる本格的な販売が始まりました。1990年代に入ると、野菜と果物をミックスしたジュースが人気となり、「充実野菜」（伊藤園、1992年）、「野菜生活100」（カゴメ、1995年）などが市場を牽引する存在となりました。

世界各地の野菜ジュース：多様なスタイル

世界各地では、それぞれの地域で手に入りやすい野菜を使って野菜ジュースが作られています。家庭では、ブレンダーなどを使って、家族の好みに合わせたオリジナルジュースを作ることも一般的です。葉物野菜中心のものや、ニンジン中心のものなど、そのバリエーションは無限です。また、健康上の理由から、特定の野菜を多く含むジュースを作る人もいます。医師から緑黄色野菜の摂取を勧められた人は、それらを多く含むジュースを作るでしょう。

ジュースバーでは、客が好みの野菜を指定して、その場でミックスジュースを作ってもらうこともできます。市販品では、欧米ではトマトをベースに様々な野菜をミックスしたものが一般的です。

日本における野菜ジュース：定番商品とJAS規格

日本でも家庭で手作りされる野菜ジュースは多く、レストランなどでもメニューに含まれることがあります。市販品としては、トマトミックスジュースやニンジンミックスジュースなどが一般的です。これらの名称を使用するための基準は、JAS規格で定められています。近年は、野菜と果汁を混ぜ合わせた商品も増え、JAS規格では果汁50%以上で、野菜汁と果汁のみを原料とするものを「果実・野菜ミックスジュース」としています。

栄養価：健康志向と現実

野菜ジュースは、嗜好品としてだけでなく、栄養補給の手段としても注目されています。多くの企業が、製品に含まれる栄養価を強調しています。トマトやニンジンなどの緑黄色野菜を原料とするものは、ビタミンC、ビタミンA、食物繊維の補給を謳うことが多い一方、果物と混ぜ合わせたものは、ビタミンC摂取を目的とするものが多いです。

しかし、野菜ジュースは必ずしも野菜と同じ栄養価を持っているわけではありません。製造工程で食物繊維が除去されたり、加熱殺菌によってビタミンCや消化酵素が失われたりするからです。実際、国民生活センターや名古屋市消費生活センターの調査では、野菜ジュースの栄養価は、表示されているよりも低いことが報告されています。これらの調査結果から、野菜ジュースはあくまで補助的な栄養源として利用すべきであることが示唆されています。

野菜ジュースは、手軽に野菜を摂取できる便利な飲料ですが、その栄養価については注意深く検討する必要があります。あくまで、バランスの良い食事の一部として、適切に利用することが重要です。

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