金沢21世紀美術館

金沢21世紀美術館について

金沢21世紀美術館は、石川県金沢市に位置する市立の現代美術館です。この美術館の愛称は「まるびぃ」で、円形のユニークな建築が特徴です。2004年10月に開館し、以来多くの訪問者に愛され続けています。

建築の特徴

美術館は、地上2階、地下2階の構造で設計されています。そのデザインは、芝生が敷き詰められた広い空間の中央に円形の建物が置かれ、まるで「まちに開かれた公園のような空間」を創出しています。館内は122枚のガラスによって外部とつながり、様子を透明に見せることができるため、外の風景とともに現代美術を体験することが可能です。出入口は4つあり、どこからでも気軽に訪れることができるため、来館者に親しみやすい設計となっています。

建築を担当したのは、妹島和世と西沢立衛による建築設計事務所SANAAで、彼らはこの独特なアイデンティティを確立しました。館内のエレベーターもガラス製で、デザイン性を尊重した設計がされています。日本国内外で高く評価されており、金沢21世紀美術館は、ヴェネツィア・ビエンナーレの金獅子賞を受賞しています。

収蔵作品の方針

美術館では、主に1900年以降に制作された歴史的意義のある作品や、1980年代以降の新しい価値観を提示する作品、さらに金沢ゆかりの作家の作品などを収集しています。特に、無料ゾーンには体験型の展示も多く、訪れた人々が美術を気軽に楽しむことができる環境が整っています。代表的な作品には、レアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」、オラファー・エリアソンの「カラー・アクティヴィティ・ハウス」などがあります。

特筆すべきは、作品の入手方法です。美術館では市の財政を考慮しながら、学芸員による見識のもとで優れた作品を購入しています。基金をもとにした年間の収集予算も相応に充実しています。その結果、2021年時点での収蔵品は4011件に達し、特にグラフィックデザイナーの粟津潔氏からの寄付が大きな割合を占めています。

市民と美術館の関わり

金沢21世紀美術館は、市民との対話を重視し、新しい美術館の方針やその効果を徐々に理解してもらうための取り組みを続けています。開館当初から様々なイベントやワークショップが開催され、地域の文化活動を活性化させる役割を担っています。特に、地元の子供たちや団体向けの鑑賞教育活動を通じて、美術の楽しさを感じてもらい、再訪を促進する工夫がされています。開館から1年以内に157万人以上の入館者を記録し、地域の公立美術館としての成功の象徴となりました。

来館者の多様なニーズに応える

入場者数の推移は、開館から年月を経るごとに増加していますが、2020年度にはCOVID-19の影響で大幅に減少しました。通常の開館時間を短縮しながらも、地域住民との繋がりを大切にしたイベントは続き、魅力を発信し続けています。

附属施設

美術館内には、演劇や音楽、講演などに使用できるシアター21や、二つの茶室（「松涛庵」と「山宇亭」）も備えています。これにより、さまざまなアートに関連するイベントやパフォーマンスが行われています。

金沢21世紀美術館は、現代美術を身近に感じられる空間として、多様な文化展開を支援しています。未来に向けても、さらなる進化と成長が期待される美術館です。

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