金沢港

金沢港：北陸の国際拠点港と豊かな海の恵み

金沢港は、石川県金沢市の大野川河口に位置する、日本海に面した重要な港湾です。石川県が管理し、港湾法上の重要港湾、港則法上の特定港に指定されており、国際貿易や水産、観光など多様な機能を併せ持ちます。新港部分は「金沢新港」と呼ばれることもあります。

金沢港の役割：国際貿易と地域経済の活性化

1970年11月1日の開港以来、金沢港は国際貿易の拠点として発展してきました。韓国釜山、中国上海などを結ぶ定期コンテナ航路をはじめ、北米向け多目的船の不定期寄港など、国際物流を支えています。特に、隣接する小松製作所金沢工場との連携により、建設機械や産業機械の輸出が盛んです。2021年の貨物取扱量は輸入751,554トン、輸出478,064トンと、アジア諸国との貿易が中心となっています。

一方、地域経済への貢献も大きく、北陸地方の海産物集散地としての側面も持ちます。「金沢港いきいき魚市」では、新鮮な海の幸を一般消費者も購入できます。また、近年は外航クルーズ客船の拠点港としての役割も強化しており、観光面での発展にも寄与しています。

金沢港の歴史：古代から現代への変遷

金沢港の歴史は古く、「大野湊」として古代の文献にも登場します。戦国時代から江戸時代初期にかけては、近隣の犀川河口の宮腰（現在の金沢市金石地区）の港に勢力を凌駕されていましたが、北前航路の隆盛と共に金沢の外港として発展しました。明治時代後期までは北前船による日本海航路が全盛でしたが、鉄道の普及など陸上交通網の発達により衰退していきました。

大正時代には大野港を漁港として発展させる動きが起こり、1933年には金沢港築港が閣議決定されました。しかし、第二次世界大戦により計画は中断。戦後も長らく進展がありませんでしたが、1963年の三八豪雪による陸上交通の麻痺を契機に、金沢港建設の機運が高まりました。1964年から12カ年計画で本格的な港湾建設が始まり、日本初の掘り込み式港湾として整備されました。浚渫された土砂は河北潟の干拓工事に活用されました。当初は木材港として構想されていましたが、臨海部には木材工業団地も造成されました。建設に伴い、大野地区の一部は港湾区域となり、五郎島地区は集団移転しています。

1954年に大野港と金石港を統合し、現在の金沢港となりました。その後、コンテナターミナルの整備、クルーズターミナルの建設など、段階的に拡張整備が進められ、現代の多機能な港湾へと進化を遂げています。

金沢港の施設とアクセス

金沢港には、戸水埠頭、無量寺埠頭、石油埠頭、大野埠頭（水産埠頭）、五郎島埠頭、御供田埠頭、大浜埠頭など複数の埠頭があり、それぞれの用途に合わせた設備が整えられています。2020年にオープンした金沢港クルーズターミナルは、CIQ設備や展望デッキなどを備え、観光客の利便性向上に貢献しています。

港周辺には、海上保安部、税関支署、港湾事務所などの行政機関のほか、小松製作所金沢工場、金沢港いきいき魚市、クルーズターミナルなど様々な施設があります。アクセスは、石川県道8号松任宇ノ気線、石川県道60号金沢田鶴浜線などにより良好です。

金沢港の未来：更なる発展への期待

金沢港は、国際物流拠点としての機能強化、クルーズ観光の促進、地域経済活性化への貢献など、多様な課題と可能性を秘めています。横浜港、神戸港などとの連携協定締結によるクルーズ客船誘致の強化も、今後の発展に大きく期待されます。北陸地方の玄関口として、そして、国際交流のハブとして、金沢港の更なる発展が期待されています。

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